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質問は簡単なものだった。
名前から始まりクラス、担任の名前など。
そして、どうやらコイツは俺と同じクラスらしい。
それにしても九条満(クジョウミツル)なんて名前聞いたことねえ。
……授業に出てないから当たり前か。



「担任の先生は八神晋司(ヤガミシンジ)先生……っと。それじゃあ、九条君を襲ってきた生徒に見覚えはあるかな?」



スラスラとペンを走らせる先輩は聞き覚えのある名前を呟く。
八神先生は昔から授業に出ない俺を心配して、ちょくちょく部屋に来る。
最近は桐生が転入したからか、あんまり来ないけど。

つうかさ、ここに俺がいる意味あんの?
座ってるだけなら意味ねえだろ。
瑠璃川先輩がいるんだし、十分だと思うんだけど。



「ない……です、けど……」


「けど?」



口ごもる九条に、瑠璃川先輩は手元の書類から顔を上げるとが小さく首を傾げた。



「その、あの……多分ですけど……桐生君の当て付け、かなって……」



ポツリポツリと喋る九条。
もっとハキハキ喋れねえのかよ苛々する。
襲われても泣かなかったくせに、妙にオドオドしてんなコイツ。

つうか、何?桐生?
桐生ってあの転入生の桐生夕貴か。
まあ一緒のクラスだし、友達でもおかしくはねえな。



「桐生君にはいつも生徒会の皆様がついてるから……手を出せなくて、でも……僕はただの平凡だから……」


自分の容姿を自覚しているらしい平凡生徒――いや、九条は顔を俯かせると辛そうにギュッとカーディガンの裾を握った。







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