[携帯モード] [URL送信]




沢井虎太郎 SIDE



授業が終わって特に何の用事もない俺は、屋上にいるだろうヒナに会いに行こうとしていた――最近風紀委員のあの二人組と仲良いみてーだし、朝からうぜー奴に絡まれて苛々するし、とにかくヒナに会ってまったりしたい。


そう思いながら教室を出たところだった。今一番会いたくない、見たくもない奴が二人、目の前に現れた。

そう、桐生と九条だ。



「お前が満の言ってた赤髪か!」



真っ黒なボサボサの髪に分厚いレンズの眼鏡をしたソイツは、俺を指差すとデカい声で言った――いや叫んだ。



「ごめんね、沢井君……その、会いたいってきかなくて」



わざとらしく縮こまりながらボソボソと喋る九条に苛つく。


……猫被ってんじゃねーよ。コイツ、絶対わざと桐生が俺に会いに来るように仕向けたな。

まあ、んなことしても協力なんかしてやんねーけど。俺はとにかく桐生とヒナを会わせないようにすればいいだけだ――本人も会いたくないみてーだし、それはなんとかなるだろ。



「お前、沢井って言うのか?下の名前教えろよ!あ、俺は桐生夕貴って言うんだ!」







第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!