「……ただ喋ってただけっすけど」
俺の言葉なんて聞こえてない、いや聞いていないらしい神代さん。俺の手を掴んだまま到着した風紀委員室に足を踏み入れる。
「あ、おはよう二階堂君」
「……ども」
瑠璃川先輩はデスクで仕事をしていた。書類から顔をあげると、俺に笑顔を向けてくれた。
他の風紀委員もソファに座りながら仕事をしている。突然現れた俺を物珍しそうに見るが、目があうとすぐにそらされてしまった――何でだ。
「これがお前の仕事」
「何すか、コレ」
「今朝の強姦未遂と新入生歓迎会の書類。誤字がないかチェックしてくれ」
渡された書類を持って、俺はソファに座った。瞬間、眠気が襲ってくるが今寝たらきっと神代さんに怒られる。俺は睡魔と戦いながら強姦未遂とやらの書類を見た。
どうやら書類によると、強姦をしようとした生徒はボコボコにやり返されたらしい。しかもその相手が桐生夕貴、のようだ。
人は見かけによらねえんだな。あのマリモみてえなのが、大柄の生徒をボコボコにするとか。
「そう言えば二階堂君。お友達とは昨夜何かあったの?」
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