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しばらくすると、廊下が騒がしくなる。
いくつかの足音が聞こえると、すぐに扉が開かれた。
そこには瑠璃川先輩が立っていた。
俺の顔を見るなり嬉しそうに駆け寄ってくる。



「久しぶり、二階堂君」



微笑む先輩に対して、俺は小さく会釈をした。
蜂蜜色の髪に眼鏡の瑠璃川先輩は、相変わらず美人だった。
生徒に人気なわけだ。



「……ども」



ニコニコと笑いながら「仕事が忙しくて中々料理も作りに行けなくてごめんね」と俺の頭を撫でた。
瑠璃川先輩は風紀委員の副委員長で、委員長が厳しいかわりに、副委員長の瑠璃川先輩は物凄く優しい先輩だ。
俺が授業にも食堂にも行かないから、ちょくちょく部屋にきて料理を作ってくれる。
とにかく優しい。



「いや、別に……大丈夫っすよ」


「そう?でも仕事が一段落したらまた作りに行くからね」


「……はい」



何でこんなに世話を焼いてくれるのかは知らない。
けど、どうやら神代さんが瑠璃川先輩に頼んでるらしい。
……あの人も、何だかんだ優しいからな。

瑠璃川先輩は小さく頷く俺に、満足そうに笑うと、目隠しをされたままの生徒に近付く。
他の風紀委員は加害者側の生徒を押さえ付けていた。



「駄目だよ、二階堂君。目隠しを外すくらいしてあげないと。放置は可哀想だよ」



苦笑を浮かべながら生徒の目隠しをとる瑠璃川先輩。
……そういえば、そのまま放置してた。







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