不穏な空気が漂って参りました。
「コタは授業?」
「おー。誰かと違って特権持ってねーからな」
「コタも風紀入れば。今人手足りねえし」
ヒナの提案に、俺は苦笑した。
あのヒナに御執心の委員長が、ヒナの友達の俺を入らせてくれる訳がねーよ。
「俺は風紀委員って柄じゃねーよ」
「……そうか。コタが風紀委員なったら、今よりもっと一緒にいられるのにな」
コイツは、どうしてこうもアホなんだ。無自覚でそういう事言うの止めてくんねーかな、反応に困る。
どこか残念そうに言ったヒナに俺はため息をついた。俺が何故呆れているのかわかっていないらしいヒナは、首を傾げている。
「俺ももっと一緒にいたいけどな。まあ仕方ねーよ」
「……ん」
小さな笑みを浮かべた俺は、ポンポンと優しくヒナの頭を撫でた。
ま、こればっかりはほんとに仕方ねー問題だよな。
俺達は校舎の一階の階段で別れた。ヒナはもっと校舎の奥に進んでから屋上へ、俺はこの階段を登って三階の二年E組のクラスへ行かなければならない。
が、階段を上ろうとした所で 目の前に一人の男子生徒が立ちはだかった。
「……何だ、テメェ」
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