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それからテーブルのゴミを捨て、何処からか掃除機を持ってくる。
この部屋に掃除機なんてあったんだな、と突っ立ちながらボーッとコタが掃除機をかける様子を眺める。


なんつうか、兄貴がいたらコタみてえな奴なんだろうな。
いや、兄貴っつうより第二の母親?



「ヒナ、邪魔。ソファで寝てろ」


「あー、悪い。じゃあ掃除終わるまで待ってる」



確かに、掃除機かけてるのに突っ立ってたら邪魔だよな――俺は大人しくソファに横になる。
コタが掃除してる中寝るのもどうかなと思った俺は、ゴロゴロしながらコタの様子を眺める。



「なあ、ヒナ」


「あー?」


「お前好きな人いるか?」


「……は?」



いや、え?今なんつった?好きな人?

俺は掃除機をかけて表情の見えないコタの背中を見る。急な問いに頭がついていけなかった。
アホみたいにポカンと口をあける。

いやだって、コタがんな事聞いてくるなんて今まで一度もなかったし。



「どうなんだよ?」


「どう、って……言われても」



好きな人なんて考えた事も無かった。
この学園は言わずもがな同性愛者が多い。そんな学園に初等部から入った俺も、その影響を受けているかと言えば そうでもなかった。






あきゅろす。
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