3 「だろ?んじゃ、仲良くしようぜ日向ちゃ――ンごっ!!?」 「死ねカス」 デカイ男が俺の名前を呼んだ瞬間、俺は右ストレートを決めた。 男はぶっ飛んで、床に叩きつけられる。 俺は、下の名前を呼ばれるのがダイッ嫌いなんだよ!! 「テメェ……!」 体がデカいだけあってしぶとい。 吹っ飛ばされた男は立ち上がると、ドタドタと走りながら俺に殴りかかってきた。 俺はその大振りな拳を避けると、懐に潜り込む。 そして拳をソイツの顎に振りかぶり、アッパーを決めた。 「ンごっ!」と妙なうめき声をあげてふっ飛ぶ。 今度こそデカい男は床に伏したまま動かなかった。 そして取り巻きと思われる他の生徒も青ざめるだけで動く様子はない。 男を退かす事が出来たものの、下の名前をちゃん付けで呼ばれたからかスッキリしなかった。 あー、苛々する……もう強姦見付けても止めに入んのやめよ。 俺は他の奴等が逃げないように、空き教室の扉を閉じ、退路を塞ぐように前に立つ。 それから携帯電話を取り出した。 アドレス帳から目当ての人物の名前を探し電話をかける。 『お前から電話とは珍しい。明日は雪でも降るんじゃねぇの?』 二度目のコールで電話が繋がった瞬間、鼻で俺を笑うその人。 せめて『もしもし』くらい言って欲しい。 横暴で口の悪い風紀委員長、神代梓(カミシロアズサ)先輩だ。 「折角強姦の現場おさえたっつうのに……やっぱもう強姦止めんのやめます」 ←→ |