[携帯モード] [URL送信]



慣れない事だったが、その言葉に京極先輩の表情が明るくなったのがわかった。
良かった。
俺のフォローは間違えてなかったらしい。



「……ありがと」



今まで無表情だった先輩が物凄い笑顔を浮かべた。
こんな表情もできるのかと驚いた俺は、ぽかんと口を開けて京極先輩を見つめる。

やけに顔が整っているし、きっと親衛隊だっているんだろう。
神代さんといい瑠璃川先輩といい、何で嫌味なくらい皆顔が整ってるんだ。
そう言えばコタだって、昔から女子からモテてた気がする。



「お茶、いれてくる」



微笑みを浮かべながら席を立った京極先輩は、俺と自分の湯飲みを手にする――まだ若干中身あったんだけど。
そして生徒会室の一番奥の扉に消えた。
なんというか、神代さんがあまりにも関わるなとか言うからどんな人かと思ったけど拍子抜けするくらい普通にいい人だった。

……いい人はいい人だけど、それにしても俺はいつ帰れんだろうな。
俺はそんなことを思いながら京極先輩を待っていた。
が、一向に戻ってくる様子がない。
さっきお茶をいれてくれた時はもっと早かったのに。

何だか心配になってきた俺は立ち上がると「先輩?」と呼び掛けながらその扉に近付く。
そして開きっぱなしだった扉を覗き込むと、俺は目を見開いた。



「っ、京極先輩!?」



床に倒れている先輩は目を閉じている。
さっきまで微笑みを浮かべていたその表情は消えていて、蒼白だった。
慌てて駆け寄った俺は、ユサユサと先輩の体を揺らす。
だが起きる気配がない。








第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!