4 鬼形先生の厳しい口調に、馬鹿はお弁当の箸を置いて立ち上がる。そしてのそのそと黒板へ向かった。どうやら問題を解くつもりらしい。チョークを掴んで何やら書き始めた宮本さん視線を外すと、私は放置されたお弁当を何気なく見た――そして目を見張った。 あれは所謂、キャラ弁だ。某ポケットするモンスターの看板化け物である電気ネズミのキャラクターが描かれている。とはいえ、半分は既に箸がつけられていて長い耳しか見えていないが。 あれは誰が作ってるんだろう。まさかあの馬鹿が作ってるのだろうか? そんなことを悶々と考えているうちに問題を解いたらしいお弁当の持ち主が、また席について箸をとった。 「ふぇんへー、合っへまふか?合っへまふよね?合っへふに決まっへまふよね」 喋る前に早くご飯を呑み込んでよ頼むから、私は口にご飯を含んだまま鬼形先生に声をかける馬鹿を見る。 恐らくは「先生、合ってますか?合ってますよね?合ってるに決まってますよね」と自信満々に言っているのだろう。 黒板を見れば、そこには綺麗な字で解答が書かれていた。合っているのか間違っているのかは私にはわからないが、あの鬼形先生の何とも言えない表情から見て、おそらく正解なんだろう。 どうやら馬鹿――否、宮本さんは頭も良いらしい。頭脳明晰、容姿端麗とはこの人の事を言うようだ。 まあ性格は変だけど。 ←→ |