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笛吹少女ニーラ


『何よ!あたしじゃ本カノに不足だっていいたいわけっ!?どうせニャンニャンするなら、パパとママに紹介させなさいよっ!このヤリチンマン!おまえの顔はなにパンよ!ヤリチンマンはきみっさー♪ってやかましいわwwww』

と断末魔をあげながら、ニーラは兵士に《奥の部屋》に引きずられていった…




ギアロムの脇を通り過ぎるとき、オスロイスとは格の違うくらい強く禍々しい麝香の香りがし、はっとして見つめると、
世にも妖艶な、囚われそうな微笑みを浮かべながらニーラを見つめていた。



『ナイス受』
ニーラは親指をたてて、月島きらりのモノマネをしながら、扉の向こうに消えた。





〜オスロイス邸〜



グリーンのクルマが到着し、ミンが帰宅した。

『ユタさん、エレヌオイルはありますか?少し寄り道をして、この子を腹ぺこにさせてしまいました☆』



『ミンさん!』

ユタが、泣きそうな顔で飛び出してくる。
『どうしたんですか。レンにいじめられましたか?』






『違うんです。ニーラさんがもう、五時間も帰ってこないんです。僕、無事が心配で…』




ミンが、少し顔を曇らせた。
五時間…

謁見するだけならば考えられない時間。
しかも、ニーラはクルマの扱いをまだよく知らないため、寄り道などはできないはずだ。


クルマは、基本的にインプットした行き先に真っ直ぐゆき、真っ直ぐ帰る。
まだ、城にいるか。
道中でなにかトラブルか。



『オスロイス様に、お話したほうがいいでしょうか…』
ミンは、オロオロするユタに、だまって横に首を振った。


『私が、城を見て来ます。オスロイス様には、もし尋ねられたらミンと研究所の視察にいきました、とでも伝えてください』





そう言うとミンは、琥珀色のクルマに乗り換えて、グラド城へと急いだ。






『あっ、ミン様。こんな時間にいかがなされました。もうそろそろ、城門を閉めようとしていたところでして。』
門兵が、驚いてミンを見上げる。




『ギアロム様には、まだお目にかかれますか?』

奥から、すこし格上の兵士が出てきて、『今宵は月夜です。ギアロム様は、そろそろお食事の時間になりますので…日を改めて…』
と恭しく告げた。



『ニーラさんが…、、笛吹戦乙女が訪ねてきたはずなのですが?あなた達はお会いしてませんか?』


兵士たちは、顔を見合わせた。



『それが…来るには来たんですが、お帰しすることは出来ないんです。』



がしゃっ…
『どういうことですか!!』
ミンが、兵士の胸倉を掴む。手が震えている。
『…ました』


『えっ?』

『本日より、ニーラ様は…ギアロム様のお妾になられました。』








『放してやりなさい、ミン』
さらに奥から、オスロイスと同じ漆黒の鎧にターコイズブルーの髪をした兵士が歩んできた。



『カミュ様…』
ミンは、兵士を解放した。
『すまないが、ギアロム様はこの世界の統括者のお一人。オスロイス殿の戦力とはいえ一存で帰すことはできぬ…まあ、楽しく遊ばれて、お飽きになったとき、オスロイス殿がまだ彼女を所望していて、トラブルもなければ帰ることができるだろう、悪いな。』




『そんな…』

『それと。奴らが懲りずにヌクルバに《ゲート》を設けようと、不定期に侵入している。オスロイス殿にはその討伐をしばらくお願いするとのことだ。…忙しくしていれば、女など必要ないだろう。もう帰れ…』




そう言うとカミュと呼ばれた兵士は、踵を返して城へと入っていってしまった。







かえりのクルマを飛ばしながら、ミンはこの事態をどう打開すべきか考えたが、答えが見つからないまま、オスロイス邸に着いてしまった。





誰も、ギアロム様には逆らえない。
無駄な意見も死。
反逆は死だ。

この異世界の魔界側の誰もが、忠誠を誓っている。

『仕方のないことと、受け入れ、ニーラさんが解放されるまで信じて待つ』

ミンは、オスロイスやユタやレンにそう説明することに決めた。





業務連絡を、しなければならない。
ミンは、長いコートを翻して、邸宅に入っていった…

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あきゅろす。
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