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笛吹少女ニーラ

白い、イバラの絡みついたアーチを抜けると、正六角形をした近代的な建物が聳えていた。



仄かにひかりのヴェールを纏うその建物は、美しかった。

『何者だ!』




いつのまにか、5、6人の天使が自分たちを囲んでいた。


オスロイスは無視して、建物へと歩みを進める。







『おまえ等は…!』



そのとき、ふわっと甘い匂いをさせて、ミユが宙を舞った。
真っ赤なネイルの先で、全ての敵にちょん、と触れる。











ピシッ


『なにいいぃいぃぃ!?』







ニーラは目を疑った。
ミユが触れた処から、天使たちが石のように…というか、黒い岩になってゆく。




『石化まほ…使い…だ…と…』
一番体格のいい天使も、数秒で岩になった。





そして、ミユが着地するや否や、音を立てて粉々に割れた。







『死んだあぁ!』
ニーラは思わず取り乱して、石ころを蹴飛ばしたが、我に返ってミユのそばに戻った。


『これがアタシの術。生け捕りが難しいの、わかる?』
『ミユたんが強すぎなんですね、わかります』


二人は先に歩き出したレンとミンに駆け寄り、オスロイスの後に続いた。




小さな眼球に羽の生えた兵器が、その姿をとらえていた…












『禍々しきものよ、正義の鉄槌を受けるがいい…やれ』


『はっ』












発電所といったその建物には入り口が4つあったが、レンが聞いたあたり同じ箇所につながっているようだったので、念のためオスロイス、レンとミン、ミユ、ニーラの二手に別れて真逆の入り口から入ることにした。





キィ…


驚くほど薄い扉の向こうは、









ただ、大きな光の柱がそびえているだけだった。




『なんだ…これ?』
ミユも驚いている。

ミンが見上げた方をつられて見上げると、柱の一番上には装置のようなものがついていて、上に突き抜けている。






オスロイスとレンの方を向くと、そちらには壁づたいに階段があり、何戸か部屋があるのが見える。



どうやらそちらに突入を試みる気配だった。



、とその時、



音もなく数人の天使が上から剣を振り下ろしながら舞い降りてきた。


ミンが手をかざし、蒼い光を放つ。
氷漬けになった天使が、床にたたきつけられて粉々になる。

ニーラも楽器をブンブンふりまわした。






しかしなにもおきなかった。




前を見ると、オスロイスとレンはすでに部屋に侵入したのか見当たらない。でも、下のドアから順に炎や血が噴出しているから、戦ってるんだろう…もとい、殺戮ちぅ☆?






『アタシらも行こう!』
ミユがそういって走り出した時だった。








ブ…ゥン…




『!』


巨大な光の柱が、青く色を変え、ゆっくりと回りだした。








まぢビビったwwww

が、ミユが走り出したその場でガクンとつんのめって、倒れた。






『ミユさん!?』
ニーラがあわてて駆け寄ると、ミユは脂汗を流しながら息をあげている。


『どうしたんです!?』
ミンも、周りを警戒する。



『あ…の光…ま…ずい…し…んこう…』

『ミユーっ!!おしんこうがどうしたんだよーっしっかりしてくださーい!!』


テンパったが、どーもこーもない。


『ミンしゃん…』

ミンを見ると、青ざめた顔で、
『まさか此処まで進行しているとは思いませんでしたね。オスロイス様が危ない、ニーラさん、立てますか?』

と、手を差し出した。
『あたしは余裕のよし子でつがミユたんが…』

いう前に、ミンはミユを背に負ぶった。








おっぱいが…潰れてます///

『邪魔が入ったときは、頼みます』

ミンが階段を駆け上がりだしたので、ニーラも二段ぬかしで後を追い始めた。



青い光と、さっきから静かになってしまった上の階がとても気になる。


そして一体ミユはどうしてしまったんだろう。






ニーラは、楽器を壊れそうなくらい胸に抱いた。


オスロイス様が危ないなんてことがあるわけねーしwww

と思いながらも不安だった。





『イメージの力を、笛に託してください。そうすれば、きちんと形になるはずですから。』


ミンはミユを背負いなおしながら、無理に笑顔を作り、再び階段を駆け上がりだした。







四階くらいまできたところで、階段がいったんとぎれ、壁づたいに通路、突き当たりに扉という構図が見えた。




通路を半ばまで走り抜けたところで、突然『伏せて!』
と、ミンに頭を押さえつけられたので、楽器を庇って顔面からこけた。



シュン


音がしたので顔を上げると、小柄だが妙に威厳のある、髪をオールバックにした天使が立っていた。








『…最悪ですね、ミユさん、今は石化できそうですか?』


『ああ、あいつがちかく…にきておとなしく…してればな…』



どうやら、あいつがエイトの手下の生け捕りにする2体めの天使のようだ。

と、二人が会話をする間にも、奴が今度は通路の床すれすれに光の輪を投げる。







死ぬwwwww

『ニーラさん、飛んで!』

ミンに云われて、ジャンプしたが、革靴が一つそれにぶち当たって吹っ飛んだ。


後ろを向いたら革靴が小間切れになっていたため、おしっこ漏れたww





こんな接近戦では、曲なんか吹いてる間にやられてしまうかもしれない。


ミユを負ぶったミンは戦いにくそうだ。さっきから魔法や氷の刃を出すが、避けられている。



ニーラは覚悟を決めた。






『いざピー、頼むよん』



そして、天使が攻撃をした瞬間、ミンの前に躍り出た。

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