たんぺん集。
王道君の躱し方。
山ん中の全寮制。
そこに季節外れの転入生がきて、生徒会とかもろもろが惚れたらしい。
副会長は笑顔がどーとか、会計はセフレがどーとか、書記は俺は分かってるとかなんとか。
会長は友達居なくて、俺が親友になってやる!って言われて惚れたとか。
まあぶっちゃけどうでもいい。傲慢でお山の猿の大将気取ってる馬鹿に興味はない。
俺に迷惑さえ掛けてくれなきゃ。
*
「だから、親友になってやるって言ってんだよ!!何でそんな顔してんだ!?俺が親友になってやったんだから喜べよ!!」
食堂に夕飯食いにきたら、噂の転入生にぶつかった。
いやそんなレベルじゃねえな。突撃された。
そしたらいきなり謝れよーとかシカトすんなーとか照れ屋なのかーとか。
どっから出て来たんだこいつ?
てゆーか汚え。なにそのボサボサ。ぜってー1年は髪洗ってねえだろ。
ビン底眼鏡も油ギットギトなんだけど。
まじ食欲失せるー。
「照れてないで何か話せよ!!だから友達できないんだぞ!でも大丈夫だ!今日から俺が居てやるからな!!」
……宇宙人?
俺、あからさまに不審者見る目で見てたんだけど。
なんで照れた事になってんの?
そして何より友達は居ますが。
「こいつらだって仲良くしてくれるぞ!まだ俺以外は慣れないかもしれないけど、皆優しいから少しずつ頑張らなきゃな!!」
こいつらって、宇宙人の取り巻き?
いやいやめっちゃ睨まれてますが。
しかも宇宙人に慣れた覚えはない。
「てめえ、コウが話し掛けてやってんのにシカトしてんじゃねーよ。何とか言えや。」
「やめろよ道明!!こいつはキンチョーしてんだよ!それにもう親友なんだからな!俺の親友に酷い事言うなよ!!」
「コウ…なんて優しいのでしょう。根暗如きに。」
「こんな根暗とも仲良くしてあげるなんてぇ」
「…コウ…やさ、しい…」
「てめえ、コウの優しさに調子乗んなよ。」
そう言ってバ会長に足を力一杯踏まれた。
………………。
「コウくん…!優しいんだね!僕なんかを親友だなんて、とっても嬉しいよ!」
「まあな!それよりお前、名前教え、」
「だけど駄目なんだ!信じられない程嬉しいんだけど、僕はコウくんの親友にはなれないんだ…!」
「えっ!?な、なんでだよ!?それよりお前、人の話しは」
「僕にはもう親友が居るんだ!彼がとても嫉妬深くて…!自分以外と仲良くすると、怒るんだ…!!」
「なっなんだと!?なんだよそいt」
「この間も殴られて…!だから、僕、とっても嬉しいけど親友になることは出来ないんだ……。」
「さ、最低だなそいつ!誰だよ!!俺がガツンと言ってやる!!」
俺は希望を見つけたかの様に宇宙人を見て、ゆっくり手を伸ばす。
指差した先は、…バ会長。
「は……っ!?」
「道明!?お前、そんな事してたのか!?」
「いや、は?違っ」
「いいんだコウくん!道明くんを責めないで!」
「だけどっ、道明に酷いことされてたんだろ!?」
「……確かに、すごく怖くて、許せないかもしれないけど…。でも、きっと僕が悪いんだ!
例えさっきコウくんと仲良くして足を踏まれても、例えその足の小指が骨折していて絶対安静だったとしても、きっと僕が悪いんだ!」
「骨折した足をか!?っ道明!最低だぞ!!」
「待てコウ、俺は本当にこんなやつ知らない!」
「あっ…!ごめんね道明くん!内緒だって言われたの、忘れちゃってた…。」
「はあ!?」
「嘘吐いたのか道明!?嘘吐くなんてもっと最低だぞ!!お前友達いなかったんじゃないのかよ!それも嘘だったのか!?」
「違う!本当に、」
「実は、去年から仲良くなって、親友歴は1年になるかな…。」
「てめっふざけた事、」
「最低だっ最低だっ!!俺に嘘吐くなんて!」
「コウ!本当だ!俺はこんなやつ知らない!」
「まだそんな事言うのか!?それに「こんなやつ」なんて言うなよっ!親友なんだろ!!」
「だから違えって言ってんだろうが!!」
「……っ!ど、怒鳴った…。道明が、俺に…!!」
「っわ、悪い…だけど、」
「最低だ最低だ最低だっ!!俺に怒鳴るなんて!!俺の事好きなんじゃないのかよ!?」
「コウ、すまなかった。だけど俺は本当に、」
「もう知らねえ!!道明なんてもう友達でも何でもないからな!!」
「コウ……!」
なーんて馬鹿と馬鹿が馬鹿なやり取りを馬鹿みたいにしている間、
俺は野次馬化して爆笑している幼なじみの親友を引きずって、
こっそり退散してコンビニ寄って夕飯買っていた。
end
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ヒビが入ってる小指を、思いっきり踏まれてイラッときたとゆう。
もちろん主人公と会長は初対面です。
この後もう大丈夫だ!とか言って転入生は主人公を探すけど、名前も知らないってゆう。
カプとしたら幼なじみ×主人公。
あいややっぱり主人公×会長。
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