コンシェルジュの憂鬱。
24
なんだか分からない内に着替えさせられ、鍵を持たされ家を出た。
外には白のアウディが止まっており、助手席のドアを開けてくれる。
「あ、ありがとうございます…。」
BMWの他にも持ってるんだ…。
そのまま車でお屋敷の様な、和食料理を出す所へ連れていってもらい、消化にも栄養にも良さそうな、とっても美味しい朝食を食べた。
藤堂様は始終私を楽しませることに撤して下さり、私は珍しく、美味しいと思って料理を頂いた。
どうしてこんなにしてもらえのだろう。
藤堂様にとっては遊びでしかないはずなのに。遊んだ方には大抵こんなに優しいのだろうか?
「そろそろ着くよ。」
目的地は同じだからと、結局車でマンションまで送って下さった。
「はい、到着。それじゃ、無理しない様にね。」
「畏まりました。今朝はどうもありがとうございます。ご馳走にもなってしまって…、このお礼は後日改めて、」
「ああ、言っただろう?お礼だったら背中を流してほしいと。」
くすりと笑われながら言われ、思い出してしまい耳に血が集まる。
「今日――は、無理だから、そうだな、明日頼むよ」
「え…!?」
本気なのだろうか!?だって、行くってことは、
「仕事が終わった後、俺の部屋に来なさい。」
微笑みながら告げられる。
「は、い…」
身体が震える。身体は覚える。あの快感を、幸せを。
その日も次の日も、仕事はなんとか普通にこなせたけど、他はボロボロだった。
電車は間違えるし、レタスとキャベツは間違えるし、指は切るし、足の小指を何度もぶつけるし。
その度に落ち着けと自分に言い聞かせながら、約束の日の勤務が終わった。
私服に着替えるか制服のままか迷って、また制服のままにする。
私服で行って、勘違いしてるだなんて思われるのはいやだ。
従業員専用のエレベーターで最上階に上がり、チャイムを鳴らす。
! 深呼吸するの忘れてた―!
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