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俺の欲しいもの。



「ん〜…別にぃ。いーんちょどしたの〜?」

『ああ…、今日来れるか?』

「二日連続なんて珍しいねえ。だいじょぶよ〜今から?」

『ああ。待ってる。』
きゅん!またきゅんってしたあ!待ってるって!!

「あいあーい!」

元気に返事をして、急いでカラコン付けて眼鏡して髪セットして部屋をでる。

会いたい。変な事思い出したからかな。変な事悩んでるからかな。
なんかいーんちょに頭撫でて欲しくて仕方がない。


「こんばんわ〜いーんちょ。」

「おう、入れ。」

急いだから10分で着いて、部屋に入る。

「あれ?今日はお仕事してないんだあ。珍しいね。」
いーんちょは苦笑した。

「さっき終わらせた。…日曜だしな。今日は少なめだ。」

大変だなあ。仕事はあったんだね。

「お疲れさまんさ〜。ごめんなんだけど、シャワー借りていい?浴びてないんだよねえ。」

「ああ、俺も浴びようかな。」

「え゛?」

「あ?文句が?」

「いや〜そんなことないけどお。」

だって、恥ずかしいし恥ずかしいし恥ずかしい…。


「じゃ、湯張るか。久々に浸かりてえ。」

「あ、じゃあ俺風呂掃除してくる〜。」

「…悪ぃな。頼む。」


これで一緒にシャワー浴びなくてすむ!
いや、別に本当嬉しいんだけど、恥ずかしさが勝っちゃうんだよね。明るいし。


お湯を溜めて戻ると、いーんちょはテレビを見ていた。
珍しい!なんか娯楽的なことしてるの、初めてみた!

「いーんちょもテレビなんて見るんだあ。」

隣に座って言うと、呆れた様に顔を向けられる。
俺、いーんちょの呆れた顔好き〜。しょうがないな、って言われてるみたいで。妄想だけど。

「当たり前だろ。しゃべ〇り007は毎週録画してるしな。」

「えっ本当?これ再放送じゃないんだ。俺も好きだよ〜有〇まじウケる。」

「俺も有〇と泰〇の絡み好き。」

「すき」だって!今の絶対脳内保存!

「あ〜面白いよねえ。俺は徳子さんも好きだけど。」

「…おまえ、結構みてるな。」

「毎週リアルタイムでね〜。徳子さんがわかるいーんちょもなかなか。」

ふたりでちょっと笑う。

で、その時ちょうど徳子さんが出てふたりで爆笑。
俺見るの2回目だけど、やっぱ何回見ても面白い〜。


てゆーかいーんちょの爆笑、超レア!初見!やばい嬉しい!

笑ってたらお風呂が沸いた音楽が鳴ったので、一回止めて風呂に入ることになった。


「なんで一緒に入るの〜!?」

「お前別にいいって言ったろ。」

「い、言ったけど〜…」
シャワーの話しかと思ったし!

「邪魔。さっさと入れ。」
いーんちょに押された。う〜〜さっさと洗ってさっさと浸かってさっさと上がろ!




…結局、さっさと洗おうと思ったらいーんちょに洗ってやるって言われて、魅力的すぎなその言葉にお願いしちゃって、ムラッときたらしいいーんちょにそこでいっかい襲われた。

んでお風呂一緒に浸かってたらまた抱かれて、ちょっと逆上せちゃった俺を抱えてベットまで行ってくれて、また抱かれた。


…何がさっさとだよ俺〜!いや嬉しいけどね!



次の日。採点が終わった教科のクラス毎に、授業中にテストが返却される。一週間かけて返されて、順位が出るのはまた来週。
仕様がないよね〜生徒数多いし。

その日返されたテストは、全部90点以上。しかも90点後半が多い。

ちなみに、平均的はどれも大体60点くらい。それだけこの学園のテスト、難しいんだよね。
俺は今まで、70点後半とか80点代とかが多かった。それで600人中23位。一度も90点代は取ったことがない。



…イケんじゃない?

ちょっとこれ、5位以内イケんじゃない?

どうしよう!初日に調子のって、あと4日ボロボロだったら!

…よし、忘れよう。とりあえず来週までこの成績のことは忘れよう。

部屋で一人で決めていると、携帯が鳴った。見るといーんちょ。

時間はまだ9時45分、しかも連絡があるのは3に連続。

「もっしもし!いーんちょどーしたの?」

『…今日はテンション高えな。』

「わかった?わかっちゃった!?別にテストのことなんて考えてないよ!自分でびっくりする位いい点数だったなんて考えてないよ!」

やっぱ無理だー!喜びたい!だって90点だよ!?信じらんない!

『はは、点数良かったのか。よかったな。』

「うん!」

あ!肯定しちゃった!
またいーんちょが笑うのが分かった。

「それでいーんちょ、どーしたの?こんな時間に電話なんて珍しいねえ。」

『ああ、しゃべ〇り今からだろ。俺も久々にリアルタイムで見ようと思って。一緒に見よーぜ。』

っえ!えええ!なにこれご褒美!?拒否ってたのに実はご褒美くれちゃうの!?

「見る見る〜!今から行くねえ!」

やばい嬉しい!でも人に会わないように行かなきゃ!

カラコン着けて、ダッシュでいーんちょの部屋に向かった。今度はさすがに会長には会わなかった。

「おじゃましまあす。」

「ああ、入れ。」

部屋に入るともう10時2分前。ふたりでテレビの前のソファに座る。

「この番組、面白いとこ最初に流しちゃうのいらないよねえ。」

「俺もいつも思うわ。録画んときは飛ばしてるけど。」

「楽しみが減っちゃうってゆうかねえ。」

下らないこと話しながら見て、笑う。たまに爆笑する。

「あー、やっぱゲストが芸人とき楽しいな。」
CMのときいーんちょが言う。

「うん〜。モデルとかだったら、全く喋んない時あるもんね。」

「…お前、本当に見てるな。」

「だから毎週見てるって。」

ニヤッて笑いながら言うと、いーんちょも笑った。

番組終わるまでこんな感じで、また一緒にシャワー浴びてヤッていーんちょは仕事をして、俺はソファに寝っ転がる。

ちょっと休んで帰るつもりだったんだけど、いーんちょの背中見てたら何か変な感じになってきちゃった。




「…ねえいーんちょ。変な質問していーい?」

「あー?」

一段落着いたのか、顔を上げてくれる。

「……もし、いーんちょが記憶無くしちゃったとするじゃん?」
唐突過ぎたからかな、ちょっと不思議そうに笑ってああ。と答えてくれる。

「自分の生みの親とかさ、家とか…自分が生まれた理由とか、自分が知らない理由とか…いーんちょだったら知りたいと思う?」

少し驚いた顔をする。だけど俺が笑ってても真剣なことに気付いたのか、真面目に考えてくれる。



「…そうだな。記憶喪失になった事なんてないから、確かな事は言えねえが…。俺は基本、前しか見ないように心掛けているつもりだ。だけど自分が生まれた時…自分の原点を知らなかったら、前に進めねえ気がする。だから俺なら知りたがるだろうな。」


俺、いーんちょに少しでも近づけてるかなあ?こんな意味不明な質問にも、ちゃんと答えてくれる。

「…原点…前に、」

「飽くまで俺の考えな。実際そうなったらどうするかなんて分かんねえし、人それぞれだろ。」


「…そーだよねえ。」

「なんだ?お前記憶喪失なのか?」
ちょっと笑って言われる。

「あははっまさかあ〜。生年月日からちっちゃい頃の事までばっちし覚えてるよう。」

そこで話しは終わって、いーんちょは仕事に戻ったけど俺はそのままの体勢だった。


原点…前に進めないかあ。俺も、前に行きたい。







あっ寝ちゃったよ!朝起きて気付いた。ちょっと休んで帰るつもりだったのに。

「起きたのか?お早う。」

「おはよう〜…ごめんいーんちょ、俺寝ちゃったみたい…今何時?」

「気にすんな。まだ5時前だ。」


あ、まだそんな時間。

「ありがとお。じゃ、俺帰るね〜。」

「あ?シャワー浴びてけば?」

「ん〜今の時間だったら誰にも会わないだろうし。」

「ああ…、また連絡する。」

「ん、りょーかい。昨日はありがとね。じゃねいーんちょ〜。」




帰ってシャワー浴びて、昨日しなかった分の資格の勉強をする。

「あ、やばもうこんな時間。

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