俺の欲しいもの。
6
「落ち着け。久しぶりだな。あきらも元気だったか?」
高校入学してから会ってなかったもんね〜。
「元気だったよーう!あ、ユキさんこれお土産〜。」
「あ、我妻屋の大福!これ好きなんだ〜ありがとうあきくん。」
えへへ〜。
「本当あきらは変な所で礼儀正しいな。…それで?チャラ男にはなれたのか?」
「うん!これでアナタも遊び人っ☆〜チャラ男の心得〜のお陰でねえ」
「ぶはっ本気でそのタイトルにしたのか!?」
「ええ?なんか変?」
「いやいや変じゃねえよ。ただ、他の人にそれ言うなよ。」
…変ってことじゃん!
「いーもん大切なのは中身だから〜。ちゃんと上手くいったし!」
「はいはい二人共〜大福持ってきたよ。」
ユキさんが大福と緑茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます〜」
「いやあきくんが持って来てくれたやつだしね。それで?上手くいったんだ。」
「うん!昨日も〜あっつい夜を過ごさせて頂きました〜。」
「良かったな。で、そのいーんちょは上手いのか?セックス」
「咲人…なに聞いてるの。」
ユキさんは呆れてる。
「うーん…比べる人が居ないから分かんないけど〜めちゃくちゃ気持ちーよう。」
「へえ。やるないーんちょ。」
「てゆうか〜オニーチャン、急にどうしたの?」
ちょっと恥ずかしくなった。まあ今まで全然連絡もなかったのに、不思議だったんだよね〜。
聞いたら、オニーチャンはユキさんと顔を見合わせた。
?
「あきら。…あのな、門脇が死んだ。」
顔が強張るのが分かった。
「事故死だ。犯人も捕まってる。」
「…そっかあ。あのオッサン死んだんだあ。」
少し安心してる俺に嫌悪する。人が死んで安心なんて。
「…ああ。あきら、俺の知り合いに興信所に勤めている奴がいる。…頼むか?」
「…まだお金ないもん。」
「逃げんな。立て替えといてやる。出世したら返せ。」
「……。」
「ま、考えとけ。あとでそいつの名刺渡す。金はもう払ってるから、電話するだけでいい。」
「…ありがと。」
「その話しは終わり。今日呼んだのは、」
「えっ今の話のためじゃなかったの?」
「んなわけねーだろ馬鹿。今日呼んだのは俺の転職祝い。」
「ええ!?転職!?聞いてないっ」
「言ってねえからな。」
「咲人ってば、決まるまで僕にも話さなかったんだよ。」
ユキさんちょっと怒ってる。
「え〜ひどっ」
「決まってから言った方がいいと思ったんだよ。」
「そんな訳ないじゃんか。本当信じられない。」
「……悪かったよ。」
オニーチャンが謝った!
「それで〜?どこに転職?」
「ああ、××って会社。」
ニヤッて笑いながら言う。
「ええー!?××!?一部上場企業じゃん!」
「まあなー。すげえだろ。」
「すげえ!すげーよオニーチャン!かっくいーい!」
「あんまりおだてないで、あきくん。調子に乗るから。」
「……。」
憮然としてる。俺がこんなこと言ったら絶対ぶん殴られるのに、さすがユキさん。
「…ま、そういう訳だから。今日は豪華なメシ食いくぞ。」
「まじ!?やったあー!」
それから夕方までお互い今までの報告とかしてて、ご飯は高級フランス料理屋に行った。みんなフルコース頼んだけど、俺だけナイフフォークの使い方が分からなかった。恥ずッ。
帰りはオニーチャンが送ってくれた。車の中で、「城静学園に、山川あきら居るんだろ。…逃げんなよ。足立あきら。」って言われた。俺は何も返せなかった。
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