俺の欲しいもの。
小話3
・本編後。いーんちょと友人。
「委員長、もしかして恋人でも出来ました?」
放課後、風紀委員室で書類を片付けている時。
見回りから帰ってきた副委員長であり俺の友人でもある佐木に言われた。
「ああ?唐突だな。いきなり何だよ。」
「いえ…最近妙に帰宅するの早いですし、食堂にも来なくなったでしょう。」
「そうだな。」
早く帰らねえと、あいつ一人で長時間俺の部屋に置いたら、不安になるのか寂しがって勝手に帰りやがるしな。
「なので部屋に待っている人が居て、その人が夕食を作っているのではと。」
「まあ旨いメシは食ってるな。」
あいつのメシは旨い。舌の肥えた俺が言うんだから相当だ。
毎日作んのは大変だろっつっても、「押し掛け女房だからいいの〜!」とか言って手間の掛かるモンを毎日作る。
「それに山川の所に行っている様子もないですし。まぁ私は山川好きじゃないので、それはいいのですが。」
「そうかよ。」
輝に近付くとあの馬鹿一瞬顔が強張る。注意して見ねえと分からねえ程度だが、態々不安にさせる気はねえ。
「山川と会長が一緒に居るの見ても、機嫌悪くなりませんし。」
「そうかもな。」
んな事したら、それこそ馬鹿が勘違いして一人で自己解決して泣いてる癖に笑いながら俺から離れていくだろうが。
「で、結局何が言いたいんだよ。」
呆れながら佐木を見やる。
トゲ含みながら遠回りに話してんじゃねえよ。
佐木は眉を寄せ、頭の回転が早いこいつにしては珍しく、少し迷ってから口を開いた。
「…………………………………………紹介してくださいよ。…友人、でしょう…。」
ちっせえ声で言った後、明らかに自分の言葉に後悔しながら付け加える。
「と、言うよりですね、副委員長として委員長に変な虫が付くと風紀の仕事に支障が出るため見極める必要があるといいますか、いえ委員長が変な虫を選ぶとは思えませんが一応念のためです私としては山川への気持ちを委員長から無くしてくれたその人に個人的にお礼を言いたいですし、」
普段からほとんど表情を変えない佐木が、相変わらず無表情のまま捲し立てる。
だが照れている事は明白だ。
「ったく。仕方ねえな。」
ま、そろそろ俺も誰かに彬を自慢したかった頃だ。
今日は晩飯ビーフシチューだっつってたな。1人位増えても平気だろ。
俺は携帯を取り出す。
「…あの、委員長?」
「あ? ああ、今日俺の部屋来いよ。メシ食わせてやる。」
俺が作ったんじゃねえけど。
言いながら彬に電話を掛ける。
『もしもーし!いーんちょどうしたの〜?』
「いや。今日は予定通りビーフシチューか?」
『うん?そうだよう〜。』
「そうか。じゃあいい。」
『えっえ?なになに〜別のがいい?ビーフシチューの気分じゃない?』
「違げえよ。彬の得意料理なんだろ。楽しみしてる。」
『そ、そう〜?んじゃ頑張っちゃう〜!いーんちょもお仕事頑張ってねえ!』
「ああ。それから悪ぃけど、佐木連れてっていいか?彬に会いたいんだと。」
『えっ…』
「あ?やっぱ困るか?」
『いやっ!ううん、全然!分かったあ!』
「さんきゅ。」
『んーん!じゃあ、3人分用意してるねえ。』
「おう。じゃあな。」
通話を切って、佐木に向き直る。
「とりあえず仕事終わらすぞ。お前も書類手伝え。」
「あ、はい。…ええと、お邪魔して宜しいのですか?」
「ああ。彬も嬉しそうだったしな。」
誤魔化したみてえだが、当然分かる。
「…では、お言葉に甘えて。」
佐木はそう言って書類を多目に掴み、自席に戻った。
どことなく嬉しそうな雰囲気で。
…ったく、俺の周りは分かり難い奴が多すぎだ。
筆頭は言うまでもなく彬だが。
考えながら、俺も仕事に戻った。
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佐木くんはいーんちょ以外に友達は居ません。
そしてツンデレ。
理事長か先生に可愛がられるといいよ。
いーんちょへは友情。
いーんちょは彬を大事にして実はしっかり惚れてますよ〜…ってゆうのを書きたかったんですが…
掛けてますかね…。
(´・ω・`)
以下おまけ↓
「佐木って、3年の佐木先輩だよねえ?副委員長の、佐木先輩だよねえっ?いーんちょの友達の、佐木先輩だよねえっっ?」
いーんちょとの電話を切って、携帯を握ったまま一人で叫ぶ。
「今日来るって、俺に会いにって…、それってまままままさか紹介!?俺を!?」
いやいや落ち着け俺!
ただいーんちょにご飯の事聞いて、自分も食べてみたいーってだけかもしんないでしょ!
いーんちょ、俺のご飯割りと本気で褒めてくれるし!
「でもいーんちょがお友達に俺を会わせてくれるとか…っ!」
な、泣きそうだあ…
俺、俺進歩してるよう…!
「あ!!格好どうしよう…。」
いつも通り地味系でいくか、イケメン系でいくか。
「…イケメン系にしようかなあ。いい印象持たれたいし…。ってゆうか服!」
一応私服だけど、ジーパンTシャツ!
いやダサい系じゃなくてちゃんとオシャレ系なんだけど…、
「着替えてこよっ。」
部屋戻って服選んで着替えて髪セットしてビーフシチュー仕上げて、…
「時間やばあいっ!」
バタバタしながら、俺はいーんちょの友達を迎える準備をした。
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