俺の欲しいもの。
小話1
・本編前。いーんちょに接触する前のヒトコマ。
(あ……。)
体育の授業が終わって教室に戻るとき。
階段を登ったところで、斉明悠を見つけた。
(…今日、ラッキーだあ……!)
斉明悠は滅多に人前に出ない。
授業も、特権である授業免除を使ってたまにしか出ないらしい。
(なにしてんのかな…。話しかけたいなあ。)
壁に寄りかかって窓を眺めている斉明悠を、暫くバレないように見つめる。
背え高いなあ。モデルみたい。ちょっと伏せ目がちになって、なんか色っぽい。ってゆうか顔整いすぎだよねえ。あ、睫毛超長い…
とか考えてたら、斉明悠は微笑んだ。
優しげに、愛しげに。
「……っ!」
顔が赤くなるのが分かった。
なにあの微笑みぃー!惚れてまうやろっ!
悶えながらちょっと興味が出て、俺も窓の外をのぞいてみる。
(……っあーね。ま、当然かあ〜。)
窓の外、校庭ではアキラクンが体育で使ったらしい道具を片付けていた。
一生懸命に両手で抱えて、たまに躓きながら。
(…あーあ〜。)
呆れちゃう。
斉明悠の視線に気付かないアキラクンにも、
見てるだけの斉明悠にも。
……何より、アキラクンに向けている笑みだと分かっていても、斉明悠から目が離せない俺に。
(…………綺麗な笑顔。)
真似する様にちょっと笑って、踵を返した。
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