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俺の欲しいもの。
13



……は?
あ、ああ、俺がオニーチャンと喋ってるの聞いたからかな。確かいーんちょがアキラクンを好きで俺は悲しい〜みたいなこと言ってたし。

「ち、がうよう。だってアキラクン会長にもいーんちょにも惚れられてるんだもん。俺とは違いすぎて悲しいって意味で――」

「電話の相手が言っていた「さいみょうゆう」は俺の事だろ。」

「は…、」

で、電話の相手ってオニーチャンだよね。オニーチャンはさいみょうゆうが俺の心の支えだとかなんとか…

「っいやいやいや!なんでオニーチャンとの会話知ってるの!?」

呆れた様に言われる。
「お前の携帯、話し相手の声も丸聞こえだ。」



そっそういえば俺耳悪いから受話音量最大だ…!
ってことは全部聞こえてたの?いーんちょに?全部ってどこからどこまで?いーんちょに相手にしてもらうためにチャラ男の勉強したことも!?


「…ふ、顔が赤い。」
笑われたー!

「あっ…の、別に違くて、」

頭を撫でられる。
「お前は本当に特待で入ってたのか…。見返してやったみてえだな。」

「…え。」

「そういえば靴も貸してたか…まだ持ってんだろうな?」

「え、あ、うん…持ってる…けど、何で知ってるの?」

「何でって…俺が貸したからだろ。」

「いやそうなんだけど違くて…お、覚えてるの?」

いーんちょは苦笑した。
「いや、正直言うと忘れてたけどな。さっきあきらが電話で言ってたろ。あの時と似たようなこと。」

…あ。俺が同情?って聞いて馬鹿ちげえよ、って言われたことだ…。


「それで心の支え、と来てお前は特待生。

しかも俺に好きな人が居るって分かってチャラ男の振り…これで分からなきゃ馬鹿だろ。」
自信満々のいーんちょかっくいい…。

「思い、出してくれたの…?だって5年も前だよっしかも話したのなんて5分もなかった!」

「お前俺が頭いいの知ってんだろ。きっかけがあれば芋づる式だっつーの。」



「お、俺…期待とか、いつか思い出してくれるって期待とかしないようにしてたのに…っ」

「ああ。」
いーんちょは頷いて俺の涙を拭いてくれる。

「…っいーんちょが泣かしたあ〜。」

どうしよう。いーんちょが俺の一生を変えたあの時の事を思い出してくれたってだけで、嬉しくて仕方ない。

ちょっと笑いながら、でも涙を拭いてくれて。
「ああ。そうだな。俺が悪かった。」

何なの、これ。いーんちょが優しい。俺はどうすればいいの。期待していいの。同情されてるの?

「…同、情は…キライ。」

「知ってる。」

「…っふ、何で優しくするの…、」

「さあな。情でも生まれたんじゃねえの。…輝の事も、何でか薄くなってるしな。」

顔をバッといーんちょに向ける。

「…薄く、なってるの?俺が薄くしたのっ?」
成功!?もしかして俺の作戦成功なの!?

いーんちょはまたちょっと笑った。
「そうなんじゃねえの。お前さ、頑張れば。」

「え?」

「輝じゃなくて彬として。俺一途みてえだから落ちたらこの先お前を一生愛すかもしんねえよ?」

「が、がんばっていいの…?」

「だから言ってんじゃん。…ま、元から輝の代わりに甘んじるつもりはなかったみてえだけどな。」

バレてるっ?徐々に情を作って行こうとしたこと。

「な、なんのこと〜?」

「まあいいけどな。」

呆れた様に笑って、いーんちょは頭を撫でてくれた。

それが嬉しくて気持ちよくて自然と目を瞑る。
すると影が出来て、ちゅ、と音と共に唇に何か当たった。

こんな可愛いキス初めてだあ…。セックス前以外にスキンシップはなかったしね。
俺が呆然といーんちょを見つめると、ふっと笑ったいーんちょは言った。

「じゃ、まずは手料理でも作って貰いますか。定番だろ?」

「…っ作る!いーんちょ何が好き〜!?」




よし!次は押し掛け女房作戦だね〜!徐々に俺の物をこの部屋に増やして行こう。エプロンとかっ。

俺はいーんちょの好物を作りながら、そんな事を考えた。



END



ちなみに、週末オニーチャンの所に行ったらハーゲンダッツがなんと〜!20個買ってありましたっ。

でも全部抹茶…。俺抹茶食べれないよ…。なんで1種類しかないの!?
勿論抹茶が好きないーんちょへのお土産にしましたあ。

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