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俺の欲しいもの。
12



『…ああ。こんな家にお前はやれないって思った。お前が門脇の言ったことを本当の事として、受け入れたフリしながら、どっかで嘘かもしれないって思っている事も知ってた。』


『今は言う時じゃないと思った。お前が心の支えにしてた「さいみょうゆう」に会って、そいつがお前を支えてくれそうだったら、そん時言うつもりだった』


『調べたのはそれ1回切りだったけど、坂本が気を効かせて時間があった時山川家を探ってくれてたんだ。それを知ったのはお前が中2になったとき。お前が目標にしてた城静学園に山川輝が転入したって言われた。』


『それからは半年に1回くらい探ってもらってて、山川輝また転校しないかと思ってたら、お前が入学した春、チャラ男のなり方を聞いてきた。』



『メールの内容で「さいみょうゆう」に好きな人が居ることは分かったけど、6月にまた坂本から連絡があった。山川輝が××財閥の御曹子と付き合い始めたから、そいつが出て来たら調べてることバレるかもしれないって。』


『聞いてたら山川輝は転校生と斎明悠って奴らにも好かれてるっていうじゃねえか。斎明悠の好きな奴は山川輝なんだって知った。そんで、多分お前も分かってることも。』


『お前が悩んでるだろうとも思った。知るのをまた怖がり始めたってな。だけどお前が同情されるのすげえ嫌うから連絡はしなかった。』


『そんで次は門脇が事故死だ。伝えるかは迷ったが、お前が代わりとしてでも斎明悠と仲良くやってるって言うから伝えた。今が知る時だと思った。悶々としたまま高校3年間、山川輝と居るなんて嫌だろ?』


「…いやだ。」


『だから坂本の名刺を渡して、坂本には連絡が来るまで待つ様に言っておいた。連絡が来たら俺に見せたもん全部見せろって。』


「…嘘つき。連絡したけど見せてもらってない。」


『馬鹿。そりゃてめえが新しく依頼するからだろうが。来週中には坂本から連絡くるだろ。』


「…本当?」


『俺がてめえに嘘言ったことあるか?』

「去年の罰ゲームのハーゲンダッツ、買ってもらってない…」

『……今度な。』




なんかいつの間にか泣いてたみたい。顔を袖でゴシゴシ拭いて、やっと落ち着いた。


「しょうがないから、今回の事はダッツ10個で許してあげなくもない。」


『ああ゛!?お前、今回のは明らかに俺のやさしさの結晶だろうが!』

「色々知ってて黙ってたんだもん〜。20個でもいーよう?」

『っち。仕方ねーな、今度週末出てこいよ。』

「うん!じゃあ来週末行くね〜!オニーチャン大好きっ」

『はいはい。ったくお前も空気読めよな。ユキとイートコだったんだぜ?』

「あっうそん!ごめんなさあい。ってユキさんに言ってて。」

『俺にだろうが!というかお前、山川輝の彼氏に聞いたんだろ?そいつはどうした。』

「…あっ…。」
いーんちょと会長のことすっかり忘れてたあ〜。

『…忘れてたのな。ま、いい。来週末に坂本も呼ぶからそんときな。』

「あいあーい!…オニーチャン、今日いきなりごめんね。俺のために色々してくれてたの、嬉しかったあ。」

『…馬鹿。彬がしおらしいと気持ち悪い。じゃあな。』

「ひーどーいー。あっ切れた。」



オニーチャンとの電話が終って、携帯を閉じる。
うわ〜本体めっちゃ熱くなってるよ。


いーんちょと会長を見ると、ふたりともこっちを黙って見てた。

「ごめんねーえ、すっかり忘れちゃってたあ。何の話しだっけ? そうそう、テストの事だよねえ。なんかアキラクンのこと調べてたの、俺のためだったみたい。でも本当に条件の事とか知らないよ〜。俺は俺の理由で頑張ったって言ったでしょ?」


「っあ、ああ。疑ってすまなかった。八つ当たりだったな…。」

「いえいえ〜。もう一回説得しに行ったら?アキラクンも捨てられちゃうかもしれないけど〜。」

もちろんジョーダンです。ま、絶縁くらいはされるかも分かんないけど。
てか会長の目が怖くなったんですけど。ジョーダンだってば。


「…足立のことは、輝のせいじゃない。」

「分かってるよ〜ジョーダンだってば。別に恨んだりはしてないよう。」

「…そうなのかい?」

「まあね〜。」

「っじゃあ…!」

「だからって仲良くする気も会う気もないけど。辛いことなんて知りません〜みたいな顔を近くで見るつもりはないよう。」
どうせ兄弟が居たらアキラクンが喜ぶから会ってやれ〜とかでしょ?
そこまでいい人じゃないって。




「……。」
会長黙っちゃったあ。
ってゆうかあれ?いーんちょ全く喋ってない。


いーんちょに声を掛けようとしたら会長が席を立った。
「すまない。当然だな。だが…俺と輝が上手くいったら、皺寄せは足立にいくかもしれない。…それでも恨まないと言えるかい?」

ま、そうだよね〜。男同士で子供は出来ないし。「当主の直径」にこだわるかもしれない。
そうなったら俺が代わりにされちゃうかも〜。

「どうかな〜わかんない。目茶苦茶恨んで、アキラクンに家がしたことしてきたこと、全部言っちゃうかも。」

会長の眉に皺が寄る。
アキラクンが知っちゃったらショック受けるよね〜自分のせいで!みたいな。
しかもそれをしたのが大好きな家族ってゆうね。

「だからさ、そうならないように俺のこと隠してよ。山川家からね。むしろ本当に死んじゃったことにするとか。財閥御曹子の会長ならできるでしょ?」

にっこり笑っていう。別に今すぐ教えに行ってもいいんだよ〜。会長にとっては楽勝でしょ?

「…分かった。それだけだね?」

「うん。あとはアキラクンが俺と関わらない様にしてくれればね。」

「手配しとく。…輝に手を出すなよ。」

苦笑する。なんか俺、モロ悪役に言うセリフ言われてない?

「はいはーい。会長、いまアキラクンひとりなんじゃないの?」

会長ははっとしたように、玄関に向かう。
「邪魔したね斎明。足立も。」

それだけ言って出て行った。台風みたいだったなあ。アキラクンのことしか考えててないんだろうね。

…………。

…………。


いーんちょが無言だよう!なに?なんで?って、俺がいーんちょ達無視して長電話したからに決まってる〜!

「あ、あのねいーんちょ。さっきはごめ…」

「あきら。俺の事が好きなのか?」



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