[携帯モード] [URL送信]

過去拍手
2(犀川視点)



イツキ×ナツ


※イツキのターン




カナメや腹黒や生徒会、その他諸々を蹴散らして手に入れた恋人。


すげぇ幸せで、そして多少不満。



「……。」

「あ、犀川。あれ、カナメ達は?」

「…まいてきた。」

「いやいや、意味わからん。どうせここ来るだろ。」


うるせぇ。わかってんだよ、んな事は。

わかってねぇのはお前。


「……お前は」

「へ?」

「俺と2人になりたくないのか?」


瞬間、真っ赤になるナツ。
この顔が好きだ。

いや、ダメだ俺。ここで甘やかしたら何時もと一緒だろ。


「俺は…2人になりたい。」

「うぅっ……そ、そりゃあ」

「お前は?」


涙が滲むくらい羞恥に濡れた顔。
この顔も好き。


「お、れ…も…。」

「俺の名前も呼ばねぇし」

「お前だって…!」

「ナツ。」

「!!」


舐めんなよ?俺はいつだって呼んでんだよバカ。
心ん中でな。


「呼べよ。」

「〜〜〜っっ!!!」

「呼べ。」


だからお前も呼べ。不公平だろうが。


「なぁ?」

「い、い、つき…。」

「もっと。」


その声が好き。


「い、つき。」

「目見て呼べ。」


頬を両手で挟んで上を向かせて目を合わせる。


潤んだ目に映る俺が見える。

耐えろ俺。まだダメだ。
もっと


「うぅぅ…」

「なぁ、呼んで?」


耳まで赤くして、泣きそうになりそうだって、許してやんねぇ。


「い、つき。」


だって、俺だけこんなにメロメロなんて悔しい。し、不公平だ。


「ナツ…。ちゅーしていい?」

「きっ聞くなよ…!」


あぁ、ヤバい。可愛いすぎる。お前、それ計算でやってんなら、まじで天才。


「…可愛い。」

「可愛いくねぇって!」

「俺にだけ、可愛いけりゃいいんだよ。お前は。」

「は、ずかしい奴…」


そんなの自覚してる。でも、いい。お前がそれで、そんな顔するならそれでいい。


「カナメにも腹黒にも誰にも見せるな。」

「はぁ?」

「いっつも近い。笑顔だしすぎ。」


毎日毎日…そんで勝ち誇ったようにこっちをみてくる腹黒がイラつく。
俺が勝ってんだよ。認めろクソ。


「な…」

「出すなとか言わねぇ。けど、俺にだけ見せる顔は守れ。」

「意味わかんね…」

「わかんねぇの?」


だろうな。だから、あんな無邪気で無防備で残酷なんだろうな。お前は。


「わ、かんね。」

「今の顔。絶対見せんな。」


真っ赤になって、目を潤ませて、ちょっと震えながら上目遣い。こんな顔見た奴。まじ殺す。


「………どんな顔かはわかんねぇけど」

「あ?」

「い、つきだからだろ。俺がそういう顔すんの…」

「………」


こいつだきゃ……


「しょうがねぇだろ。イツキの前だからするんだろ。そんなの、無意識だし、不可抗力だ。」


お前、何言ってるかわかってんの?


「お前、まじタチ悪い。」

「はぁ?」

「部屋行くぞ。」


あんな顔で、声でそんな事言われりゃ、立つわ!
青少年なめんな。ヤりたい盛りなんだよ、コッチは。


「はっえっ、なっ!」

「お前が煽った。責任とれ。」


もうお前でしか立たねぇし、こんな胸がぎゅうぎゅう締め付けられて、今すぐ抱きしめたいとかお前でしかななんねぇんだよ。
これが世に言う萌えってヤツか?今までわかんなかったが、今ならわかる。

萌えだ。ナツ萌えだ。


「ちょっ、ご飯は!?」

「後。こっちのが大事。」

「待って待って!」


思いの外強く引っ張られて、立ち止まる。
振り返ると、不安そうに眉をよせているナツ。
ちょ、誰かカメラ持ってこい。


「あ?」

「何かお前怒ってる?」

「……………べつに。」

「怒ってんじゃん!」

「怒ってねぇ。」

「……………」


あ。泣きそう。


「……お前、今日、腹黒に抱きついたんだって?」


あのニヤニヤ面が蘇ってイラつく。
いい加減諦めろ。お前に、お前等に勝ち目はねぇよ。


「抱き…?いや、あれは転けそうになったから…不可抗力じゃね?」

「………ふ〜ん。」

「え、なにそれ。」

「……………」

「………ヤキモチ?」


ニヤニヤしやがって。


「……………妬いちゃわりぃか?」

「……い、いや……あの、えっと…嬉しい…デス。」


素直に認めると目を見開き、視線をアチコチさ迷わせ、俯いて服を握りながら。
ちょっとまて。お前は俺をどうしたいわけ。


「お前……完全に俺を煽ってるな?」

「は?いやいや意味わからん。」

「教えてやる。ベットで。」


そりゃあもうたっぷりと。


「ちょっ、待ってって!」

「なに。」

「……………す、すきって言ってくれたら、いいよ。」

「……………」


まいった。わかった。もういい、俺の負け。勝てる気が微塵もしねぇ。
とりあえず悔し紛れに唇を奪う。だってもうそれしかないだろ?


「あれ、イツキ?んんっ!」

「お前、本当は狙ってんだろ?もういっそ計算であってくれ。じゃないと俺の身が保たねぇ。」

「は?」

「お前は?」

「え?」

「俺の事。」

「……………ス…キ」

「とりあえずベット。」

「ちょっ、」


ナツを引きずりがら、多分俺の顔は赤いんだろう。


多少の不満なんざこいつの前では何の役にも立たねぇらしい。



あーあ。俺いつかコイツに殺されるかも。幸せすぎて。







犀川君。
死因、キュン死に(笑)


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!