BL短編小説 ナルシスト06完 「兄貴、彼女作れよ」 今日預かった手紙を渡しながら、俺は切り出した。 「何だよ、いきなり」 「この頃、俺に構い過ぎるからさ。 彼女いねぇから、俺のことが気になるんだろ? 彼女出来たら、彼女のことで頭が一杯になるって」 「やだ」 「兄貴!」 兄貴の過保護っぷりを何とかするために、俺も必死だ。 「それなら…さ。智が俺の彼女になってよ」 !? 「彼女なら、ずっと気にかけてても良いんだろ?」 兄貴の突拍子もない提案に、俺は開いた口が塞がらない。 「お・同じ顔に向かって、何言い出すんだ。このナルシスト!」 「あ、そう言われれば、そうだ。ははっ、智は面白いことをいうなぁ」 暢気に笑う兄貴とそれ以上やりあう気力もなく、話題はそのまま立ち消えとなった。 全く… 冗談なのか、本気なのか。 「智〜」 兄貴は相変わらず俺にベッタリで、彼女を作る気配は、ない。 完 [前へ][次へ] [戻る] |