続き物
バンのお節介(洗濯日和の続きと勘違いのその後含)
※メリオダスとディアンヌの会話の後





その日はよく晴れていた。
七つの大罪の一人であるバンは、最近になって七つの大罪に仕え始めた物好きな使用人が、同じく七つの大罪のゴウセルと洗濯物を干しているのを見た。
丁度バンが昼寝をしていた塔の窓からは拓けた中庭が見え、使用人とゴウセルを観察することが出来た。

最近二人でいるところを良く目撃するからか、バンは使用人がゴウセルの恋人の立ち位置を狙っていると思っていた。
七つの大罪は犯罪者の集まりではあるが、国王から正式に任命された直属の騎士団でもあるのだ。
その地位はその辺の騎士とは比べ物にならない。
さらに実力的にも申し分ないので、仮に七つの大罪の誰かの横を狙っていたとしても不思議はないのだ。
しかし、そう考えるとバンには疑問が残った。
普通は心の読めるゴウセルよりも、キングや団長といったもう少し扱いやすい奴を選ぶだろうに、と。
もし仮にキングを選んだとしても、彼はディアンヌに夢中であるし、団長の場合はディアンヌが手を下しに来るだろう。
ならばゴウセルというのはまぁ妥当なのか、とさして興味がないのでじき忘れるだろうがバンはそう考えた。
どちらにしろ自分には関わりのないことだ。



「あ〜あ、今日も暇だなぁ。
この間の戦いは相手が弱すぎて詰まんなかったしよ〜♪

やっぱ団ちょと遊ぶのが一番だなww」


バンはそう思い立ったと同時に団長・メリオダスの魔力を探った。

すると、どうやらメリオダスはバンからそう遠くないところにいるらしい。結構近くで感じられた。
近くにいるとなれば、これを逃す手はない。
早速声をかけて手合せしよう、と寝ていた塔の窓に手をかけ、一気に飛び降りた。

塔の外壁を駆け降りながら、団長の気配が急に遠退くのをバンは感じた。
せっかく遊ぼうと思ったのにこれで逃げられては台無しになってしまう。
さらに走る速度を上げていると、近くにディアンヌの魔力も感じた。
団長の魔力以外興味がなかったので気が付かなかったのだ。
これはバンにとって良くあることで、そのたびに何故か自分の周りをウロチョロしているキングに口煩く小言を言われるのだ。


ようやく団長の姿が視認できたので、声を掛けようとした(ディアンヌの姿だけはとっくに見えていたが興味がなかった)が、聞こえてきた会話に興味を引かれた。


「団長ー!ボクを置いて行くなんてひどいよー」

「わりぃわりぃ!面白いもん見ちまったからつい」

「確かに!ゴウセルがあんなにユウキのこと気に入ってるとは思わなかったよー」

「でも肝心のユウキは欠片も気付いちゃいねーけどな!」



この会話を聞くに、どうやらユウキというのは使用人の名前らしく、いつもゴウセルから近づいているようだ。
それを聞いてバンの口端がニヤリと持ち上がった。
面白いことを聞いた。まさかあのゴウセルが恋をするとは(ここまでは言ってない)

いつまでもここに居ても仕方ないので草むらから出て二人に声をかけた。
団長もディアンヌも気付いていたのでさして驚くこともなく平然と返した。



「よぉw団ちょ♪
なぁ、今の話ほんとかよ〜?あのゴウセルが?ww」

「おぅ、さっきちょうど会ったんで仕事手伝うか?って聞いたらゴウセルに必要ないって言われてな」

「ほんと珍しいよね〜、ゴウセルが団長の提案断るなんて!」

しかもユウキのこと庇うように前に出ちゃってさ〜!

「へぇ〜そりゃ面白そうだww」

「あ、でもあんまりからかわない方が良いぞ。俺の見たところゴウセルは結構マジだ」



このメリオダスの言葉はすでにバンには聞こえていなかった。
バンの中では興味の対象がメリオダスからユウキとゴウセルにすり替わってしまったからである。
しかし最後のメリオダスの忠告を聞いていたとしても無駄だったかもしれない。


何故なら彼は強欲の罪・バンなのだから。
やりたいことはやる、そういう性質だ。
だがそれによって悲劇は起きた。
主にバンの身に。

彼は後日、毎朝起こしに来る使用人ユウキに起きているのにも関わらずセクハラをした。
しかも、ゴウセルが扉の向こうにいるのを知っていて。
ここまでで分かる方もいるだろうが、ここで"勘違いもほどほどに"へ繋がるのだ。


勿論その後彼は静かな怒り(?)を湛えたゴウセルによって精神的に疲弊させられ、数日城に戻ってくることはなかった。
これは、ユウキの知らないバンとゴウセルのみが知る"その後"である。





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あきゅろす。
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