続き物
fentanyl5(完)
※ほのぼの、シリアス、甘表現有









盗賊による凌辱から数日。
目を覚ました私が最初に見たのは泣きそうなぺリオ坊ちゃんの顔と無表情なアーマンドの顔だった。
無表情は一瞬のことですぐにいつもの困ったようなそれでいて泣きそうな顔になったが、他の人間がいる前では初めてだったのでとても驚いた。
ペリオ坊っちゃんが私の名前を呼びながら謝っているのを聞きながら、一体あの後どうなったのか聞こうとしたら顔の左下が痛くて喋れなかった。
その代わりアーマンドが私の聞きたいことを察して話してくれた。


「ユウキ、ユウキ、ごめん…俺…」

「ユウキ!!起きたんですね…良かった…!
あの後すぐに捜したのですが見付からず…日が落ち始めた位に森の洞窟で倒れているのを見付けたんです。
すみません助けられなくて…」


つまりアーマンドは何もしていないということらしい。
あの三人の盗賊はどうなったのだろうか。
奴等は私を離す気はないと言い、村を襲うとも言っていた。
そんな奴等がまさが何もせずに去って行く筈がない。
恐らくアーマンドが何かしたんだろう。
だが今はペリオ坊っちゃんの手前、そんな事を聞くわけにも話すわけにもいかない。
真実を聞くにはアーマンドと二人きりになる必要がある。
私はそれを伝えるべく痛む顔をゆっくり動かした。


「アー、マン…ド、と二人、に、し…て…」

「……分かった。俺父さん達に知らせてくる」


ペリオ坊っちゃんが複雑そうな顔でドアを開けて出ていくと、アーマンドがいつもの話し方になった。


[怪我は顔面の下顎からやや上顎にかけての腫脹が一番酷かった。下顎骨はヒビが入っている可能性があったが、腫脹が落ち着いた時の医者の診察では骨に異常はないらしい。
その他体の各部位に歯形や鬱血痕が多数残っていた。
その場にいた盗賊には相応に対処した。

何か聞きたいことはあるか?]

「……(フルフル)」

どうやら喋れなかったのはその怪我が原因のようだ。
経緯はまだ曖昧だが、やはり盗賊達と鉢合わせたらしい。
ならば彼等の向かう末路は大体分かりきっている。
彼は一応七つの大罪だ、相応の対処が逃がしたのか殺したのかは分からないがきっとその辺だろう。
行為に関しては聞きたくもないので首を横に振った。


[そうか。……]

「………」

何か言いたげに考えるアーマンドに、喋れない私は彼が言い出すのを待つしかなかった。
今気付いたが、この部屋はロアンナさんの家ではないようだ。
部屋や家具の装飾が煌びやかでベッドの寝心地も良い。
ペリオ坊っちゃんもいたので村長さんの屋敷だろう。
ボーッとそう考えていると、考えが纏まったのかアーマンドが喋りだした。

[俺がもし村を出ていくと言ったら、お前はどうする?]

「……」

今更それを聞くか。しかも私は今話せないのに。
そう無言の圧力というよりは意思表示をしていると、アーマンドが私の頭に触れた。
その瞬間ナニかが入り込んでくる感覚に拒否してしまいそうになるが、意思を伝えるために耐えた。
まずそのセリフを聞いて思ったことはやはり、今更何を。それだけだ。
拾われてから一年半、殆ど毎日の如く逆らうな嘘を吐くなと言われ続け、私はそれを(大方)守ってきた。
アーマンドを辞めてゴウセルになり、村を出ていく。
潜伏しているのだからそんな日が来るのは当たり前だ。
だが無意味な質問だ。私はゴウセルが着いて来いと言っても残れと言ってもその通りにする。
私のソレを視たアーマンドは、何と無くだが驚いている様に見える。
その反応に心外だ、と思った私はアーマンドに一人にしてくれと伝えた。
心を読んだ彼は分かった、と言って部屋を出た。



ユウキのいる部屋を出たアーマンドは、自分の言った言葉と彼女の思考が理解出来なかった。
何故急にあんなことを言ったのか。
まだ村を出る気はない。
いつかはその時が来るだろうが、少なくとも今ではないことは確かだ。
しかし森に匿っている鎧巨人が聖騎士に見付かるのも時間の問題。
むしろよく今まで隠し通せたものだ。
最近はゴウセルの鎧をもってしても彼の暴走が抑えきれないこともあった。
あのままではいずれ周りの敵意ある者を攻撃し始めるだろう。

アーマンドは屋敷の階段を降りながらユウキの事を考えた。
一年半前から洗脳するようにゴウセルが言い続けた言葉を彼女は守っている。
アーマンドは先程侵入(インベイジョン)が成功した時に心だけでなく感情も読み取った。
自身の魔力が通用しない相手は当時ゴウセルにとって初めてだった。
最初は大した戦闘力もない一般人ならいつでも始末出来ると思っていた。
しかしユウキの持つ能力に興味を惹かれ生かすことにした。
だがこの女には魔力が通用しない、ならばとゴウセルがとった行動は依存させることだった。
人間は誰しも意識無意識関係なく他者へ依存をしている。
それを敢えて自分に向けさせることで裏切りを防止し、且つ能力すら掌握しようと考えた。
そう考えていた。


が、もしそうだとしたら辻褄の合わない行動が複数挙げられた。
一つ目、何故村人にユウキとの関係を恋人と言われ否定しなかったのか
(より明確な立ち位置を呈示してユウキに意識させるため)
二つ目、何故行為の後気絶したユウキにキスをしたのか
(触れることで魔力を送り込むタイミングを謀るため)
三つ目、何故盗賊に連れ去られたユウキを追ったのか
(希少な能力を奪い返すため)
四つ目、何故盗賊達に付けられた体のソレを気にしたのか
(普段綺麗に使っていたモノを汚されたから)

不自然な行動を挙げ、その都度カッコ内で理由を加えた。
だがそれらは全て他からみれば"言い訳"だった。
一つ目は恋人になりたかったから
二つ目は意識のある彼女はキスを拒むと思ったから
三つ目は自分のモノを盗られたから
四つ目の答えは言い訳でも既に出ている、自分のモノを汚されたからだ
一年半振りに読んだユウキの心と感情は、かつてゴウセル自身がそう誘導した通りのモノだった。
だがその心も感情も意図的に造られた偽りのものだ。
それが今になり自分の首を絞める事になるとは思いもよらなかった。

恋という感情を理解することは出来ないが、ゴウセルはユウキを汚された時にどす黒い何かを感じていた。
世間で言うとそれは嫉妬に当たるわけだが、当然知る筈がない。
しかしながら本人に自覚はなくとも無意識で行動してしまうことはある。
ゴウセルの場合はまさにそうだった。
特に感情全体に対して疎い為本能でユウキに接している面が強かった。
今までの行動、発言然り。
こうして矛盾点を検証しなければゴウセルは自身の変化に気が付かなかっただろう。

この答えに辿り着くまでにゴウセルは数週間の時間を要した。
その間ずっと問答を続け、ユウキとはまともに顔も合わせていなかった。
やっと答えの出た難問だがそこで新たな問題が発生した。
とうとう森に匿っていた鎧巨人が見付かってしまったのだ。
リオネス王国は騎士団と暁闇の咆哮(ドーン・ロアー)を差し向けた。



事の始まりは数時間前。
七つの大罪ごっこにハマったぺリオに付き合って、色欲の罪アーマンドとしてポーズを取らされ羞恥していた。
そこを丁度昼休憩中のユウキに目撃された。
ポーズを取らされるアーマンドを見るユウキの口元は引き攣っている。
農夫達はそれを見て恋人がこんなことやってたら恥ずかしいやなぁとアーマンドとユウキに同情していた。
因みに盗賊のことは村長から口止めされたので関係者以外は知らない。
久しぶりに会ったと思ったらこの状況。
ユウキはこのタイミングの悪さを呪った。

「あの、ユウキ、お昼は?」

「食べたわ。アーマンドは?」

「私はまだです…ぺリオ坊ちゃんがまだ帰りたくないと…」

「そう。じゃあ私はこれで」

「ま、待ってください!!まだ休憩時間はありますよね?少し付き合ってください」

農夫達の手前断れず、仕方なくアーマンドと共に先に行ってしまったぺリオを追うユウキ。
そんな二人を見送った農夫の一人がポツリと呟いた。

「いやぁ〜、ホント綺麗なったなぁユウキちゃんは」

「んだんだ、一年半前なんて細っこくて折れちまうかと思ったもんな!」

「痩せすぎて坊ちゃん達よりちょっと上位だと思ってたら、まさか今十六だってな!見た目じゃ分かんねぇもんだ。
最初アーマンドと付き合ってるって言ったときは幼女趣味かと思ったべ!!」

「それがなぁ、今じゃあんなに別嬪さんになって…俺ももう少し早く声かけてりゃあなぁ」

「やめとけ、アーマンドはあぁ見えて嫉妬深いからなぁ。見てりゃ分かるだろ?いつも村の男(俺達)がいる時は傍から絶対離れねぇ」

「確かになぁ」


栄養失調を起こしていた当時は村の子供と同じくらいの細さで、身長もあまり高くないためよく十歳くらいに勘違いされていたユウキ。
それが半年ほどもすれば栄養を摂り生活も昼型になって避妊薬を飲むこともなくなったので、年相応に成長するようになった。
まだ成長途中だが、それでも胸やヒップなど一番女性らしさが目立つところは大きくなっている。
容姿は元がかなり良かったため、健康的になってからは村の男から求婚されることもあった。
そのたびにアーマンドは自覚していない嫉妬心で男達を追い払っていた。


ユウキとアーマンドがぺリオに追い着くと、ぺリオは剣を振り回して歩いていた。
アーマンドがそれを咎めると、いつもの小言にぺリオは面倒そうにうるさなぁと逆にアーマンドに文句を漏らした。
いつもの事なので皆何も言わずに歩いていると、前方に小屋が見えた。
見慣れない小屋だ。こんな所に果たして小屋なんて建っていたのか。
そう一同疑問に思う中、ぺリオは自分の村にこんな小屋を建てたのは誰だ!と単身乗り込んでいった。
それを慌てて追うアーマンド。
仕方なくその後に着いて行くユウキと子供たち。
ぺリオが自分を七つの大罪団長、ぺリオダスだ!と叫ぶのとほぼ同時に小屋の持ち主たちが現れた。
ユウキがその姿をとらえた瞬間、またいつものアレが始まった。


金髪の子供、白髪の男、茶髪の少年は知らないが、前者二人はゴウセルの記憶で見覚えがあった。
記憶の中のゴウセルは金髪の少年を団長と呼んでいた。
恐らく彼らが本物の七つの大罪なのだろう。
きっとゴウセルを迎えに来たのだ。
だがゴウセルはまだアーマンドとしてこの茶番劇を続けている。
ユウキは勝手なことをしないというゴウセルとの約束の通り何も言わなかった。
そして小屋の奥から茶髪の女巨人が出てきたのを見てユウキは確信した。
やはり彼らはゴウセルのかつての仲間だと。

女巨人と子供たちが仲よく遊んでいる間にアーマンドは金髪の少年そして白髪の男と話していた。
特に話す相手の居ないユウキは一人で突っ立っていたが、女巨人が気を使って話しかけてくれた。
男性陣が気が付くとユウキと女巨人ことディアンヌは打ち解けていた。

子供たちが森に住むという山神の話をしている途中、村人の一人が走ってきた。
なんでも聖騎士と騎士団が山狩りを始めるから山には立ち入るなとのことだった。
それに興奮した子供たちはアーマンドが金髪の少年と話しているうちに山へ行ってしまった。
アーマンドはまたもや慌ててディアンヌとお喋りしていたユウキを連れてぺリオを追った。

アーマンドが村へ戻るよう説得するもぺリオに見事逆ギレされ、拾うんじゃなかった!とまで言われてしまった。
言った本人は気まずそうに先へ行った。
するとメラが雇われたんじゃないの?とアーマンドに質問した。
数年前に怪我をしていたアーマンドを拾い、手当てしたのはぺリオだった。
その恩に報いるために今世話係をしているという。
それを聞いてふーんと興味なさげに言ったメラは、ぺリオ達が先へ行ってしまった事実を伝えた。
ユウキはそれらのことを既に聞いていたので驚きはしなかった。


追い着くとそこには騎士たちの死体の山があった。
子供にはキツい光景だ。
ユウキはすぐに先に行ってしまったぺリオ以外の子供たちを連れて避難させた。
持っていた剣で鎧巨人に攻撃していたぺリオに自身の拳で重い一撃を振り翳した鎧巨人。
ぺリオにそれが直撃する前にアーマンドがそれを庇って潰された。


子供たちを避難させた私が見たのは、元の姿に戻りかつての仲間達に正体を明かすゴウセルだった。
皆が驚きを隠せない中、当の本人は平然としていた。
仲間と話していたゴウセルとふと目が合った。
しかしすぐに逸らしてドーン・ロアーに鎧巨人の首を落とし、それを渡して追い払った。
すでに首が生死と関係のなくなった鎧巨人を他の七つの大罪に任せ、ぺリオ坊ちゃんを抱き上げてこちらへやってきた。

[ここは危険だ。一先ず安全な場所へ行く]

「分かったわ」

ぺリオ坊ちゃんを抱くゴウセルに背負われて、山の中腹まで連れて行かれた。
降ろすとちょうど目覚めた坊ちゃんがゴウセルを引き止めたが、ゴウセルは私と二人で引き返すよう言った。
坊ちゃんを連れて降りるのは構わないが、聞きたいことがあった。

「ねぇ、一つだけ教えて。あの三人とディアンヌは仲間なの?」

[そうだ]

それだけで十分だった。
多分、ゴウセルはこれが終わったら村を出て行く。


戦いが終わったらしい七つの大罪は、ゴウセルを新たに仲間に加えて自己紹介タイムだった。
そしてそこに何故か私もいる。
今日はよく視えるようで、彼らの過去はあらかた知っている。言わないが。
ゴウセルが仲間になることを了承すると、気になっていたのか私の周りに人が集まってきた。

「ねえねえ、ユウキはゴウセルとどんな関係なの?」
「私も気になっていました!」
「それ俺も気になったww」
「教えろよゴウセル〜」
「というかその子も連れて行く気なの?」
「お前ら質問多過ぎだろ、プゴ」

私としては最後から二つ目の質問が気になるところだ。

[ユウキは俺のだ。無論連れて行く]

「えぇ〜!!?ユウキってゴウセルとそんな関係なの!!?」

「ディアンヌが思っているような仲じゃないわ、私とゴウセルは…」

「ディアンヌだけずるいです!私のことも呼び捨てにしてください!」

「え、でも王女様でしょう?っ、分かったわ、よろしくねエリザベス」


ゴウセルが質問に答えた瞬間、静寂が一気に騒音に変わった。
どさくさに紛れて王女様に呼び捨てをお願いされた。
うるうるとした目で見られたら誰も断れないだろう。
勿論呼び捨てで呼ばせていただいた。

「アンタゴウセルの女なのか♪こいつってどうなんだ?」

「え、特に普段と変わらないと思うけど…」

[バン、勝手に触るな]

「いつもこんな感じよ」

「へぇ〜あのゴウセルがなあ。分かんねぇもんだな」


彼らの言ういつもと私の思ういつもには相違があるようだ。
一頻りそんなやり取りをした後、私は大事なことを思い出した。
宴会も中盤に差し掛かり夕暮れになった頃、私は一人抜け出してロアンナさんに会いに行った。
暫く家への道を歩いていると、後ろから声を掛けられた。

[何処へ行く]

「ロアンナさんに挨拶をするの。お世話になったから」

[なら俺も行く]

ロアンナさんの家はまだ明かりが点いていた。
中に入ると椅子に座ったロアンナさんがこちらを向いた。

「っ、ユウキ!無事だったのね!!…その人は?」

[俺は七つの大罪、色欲の罪のゴウセルだ。アーマンドとしてぺリオに仕えていた]

「…そうだったの。ユウキも行ってしまうのね」

「ごめんなさい、ロアンナさん。私…」

「良いのよ。分かっていたことだわ。でもね、ゴウセルだろうがアーマンドだろうが、ユウキを泣かせたら承知しないわよ」

[すでに何度も鳴k「ちょっと!空気読みなさいよ!!」空気を、読む?]

焦った…まさかこんなシリアスなシーンでブっ込んでくるとは。
本当この空気の読めなさだけは演技ではない所が残念で仕方ない。
お別れをした私は最低限の荷物だけを持って一年半お世話になった家を出た。
あの小屋は豚の帽子亭というらしいが、そこへの帰り道の事だった。
珍しくゴウセルが話しかけてきたのだ。

[別れ、というのは辛いものなのか?]

「貴方坊ちゃんとお別れしたじゃない。寂しくなかったの?」

[さぁ。よく分からない]

「そう。じゃあ私と別れてもきっと変わらないわね」

[お前を手放すつもりはない]

「それ、貴方が言わなければロマンチックだったわ」

[ロマンチック?俺が言ったら違うのか?]

「棒読みじゃあね。そう言えば私、ちゃんと約束守ってるわよ」

[そのことだが、撤回する]

「ハア!?いまさら何言ってんのよ!!ロアンナさんとお別れしちゃったわよ!」

[お前を手放す意味ではない。もうお前を言葉で縛っておく必要が無くなったからだ]

「なにそれ、私はもう貴方に逆らわないってこと?」

[違う。俺から離れない、という意味だ]

「…なんでそう思うの」

[夜はもう俺以外では満足できないようにこの一年半してきた。それにお前は俺のことが好きだろう]

「な、な、なんで、アンタが、そのこと…」

[一度だけ喋れないお前が意思を伝える手段として魔力の侵入を許した時だ]

「、あの時!!最悪だわ…」

[何故だ?]

「だって!好かれてもいない相手を好きになるなんて…姉様が聞いたらきっと、んむぅ、んっ」

[今まで一度もお前を嫌いだと言った覚えはない。
好きだと言った覚えもないが。
…好きだ、ユウキ]

不意打ちのキスと初めて受ける告白にどうしたら良いのか分からず、地べたに座り込んでしまった。
キスされた瞬間流れ込んできたゴウセルの感情は、少しではあるが薄いピンク色をしていた。
今まで一年半過ごしてきたがアーマンドとして演技していた時ですら感情の変化は一切見ていない。
その光景に驚いて瞬きすると、もうピンク色のそれは無くなっていた。
一瞬ではあったがピンクのソレが、ゴウセルの言葉が真実であることを裏付けていた。
呆然としている私に合わせてしゃがんだゴウセルが、さらに続けた。

[もうお前は俺から離れられないし、離すつもりはない]

そう言ってゴウセルはそのまま私を横抱きして、豚の帽子亭に向かって歩き出した。
その言葉がまるで麻薬のように浸透し侵食し快楽し依存させて、ついには私自身を滅ぼしていくもののように聞こえた。
しかしもう後戻りはできない。
これは一年半前のあの時にはもう決まっていたようなものだから。
これから起こるであろう様々な幸、不幸を思い私を抱いているゴウセルの首に腕を回した。









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