続き物
洗濯日和その後
※洗濯日和のその後の話
規格外のサイズであるディアンヌ様の服を干してしまえば、あとは大した洗濯物は残っていないので、ぱっぱと干してこの仕事は終わった。
次なる仕事に向かうべく、空になった洗濯籠(ディアンヌ様の服も入っていたのでかなりのサイズ)を台車に乗せた。
籠を乗せてから、洗濯物を干している間中感じていた視線の主に一言言うのを忘れていたことに気が付いた。
「ゴウセル様、私はここでの仕事が終わりましたので、これで失礼しますね」
[俺も本を読み終えた。部屋に戻る]
そう言うと鎧をガシャガシャいわせながらゴウセル様は立ち上がり、おもむろにこちらに歩いてきた。
その事を深く考えず、通り過ぎて行くものと思っていた私はゴウセル様が立ち去るのを待つことにした。
「そうですか。では失礼しま、あ、ゴウセル様、」
[何だ、どうかしたか?]
いや、どうしたもこうしたも、主の1人であるゴウセル様に籠を持っていただくなんて恐れ多い…(←さっきは服干すのを手伝わせていた)
私が内心あたふたしているのに、とうの本人は知らん顔(顔は鎧で分からないが)をして籠を持って歩き出した。
それを見てハッと気づき、慌ててゴウセル様から籠を奪い返そうとしたが、大きな鎧の前に成す術もなく、結局ゴウセル様の押しに負けて持って行っていただくこととなった。
女の子とはいえ巨人族の服などを入れていた籠なので、かなり重いはずだがそこは流石七つの大罪のお一人、軽々と籠を担いでガシャガシャ鎧を鳴らしながら歩いている。
その後ろを何も乗っていない台車を押した私が着いていく。
何の会話もなくひたすら物置への道を歩いていると、長い廊下の先で、何やら賑やかな話し声が聞こえてきた。
少しすると話し声がより明確になり、声の主はメリオダス様、そして柱で見えなかったがディアンヌ様のようだ。
あちらも私達に気が付いたようで、おーい!と話しかけに来られた。
「よう!ユウキ、仕事中か?」
「ユウキー!聞いてよ〜団長この前ボクとデートしてくれるって言ったのn「俺はそんなこと言ってねーぞ」って言うんだよおー!」
仕事中かなんて見れば分かるだろうに、しかもディアンヌ様まで…出来ることならさっきお会いしたかった…!
っと、このままではこの人たちのペースに乗せられて仕事どころではなくなってしまう。
この数週間彼らのお世話をして一番に学んだことはそれだった。
そこからの私の行動は早かった。
「はい、まだ仕事中です。ですので申し訳ありませんがお話はまた後ほどお願いします」
よしこれでOK!と思ったら、
「それなら俺も仕事手伝うぞ?」
「団長がやるならボクも!」
なん…だと…
お二人に手伝っていただけるのは有難いが、流石に嫌な予感しかしない。
確かに運動神経抜群なお二人だから仕事は捗るとは思うが、それとは別に何か違うものを引き寄せそうだ(バン様とかバン様とかバン様とか)
それこそ仕事が終わるどころか、むしろ倍以上になって返ってくる可能性の方が高いので、ぜひともこちらも遠慮したい。
だが折角買って出てくださっているのに無碍にするのも悪い気がして、断るのを躊躇ってしまった。
どうしよう、と考えていると、不意に視界を何かが遮った。
[ユウキの手伝いは俺がやる。よって団長とディアンヌの手伝いは必要ない]
ゴウセル様だった。何も喋っていなかったのですっかり空気と化していたが、彼はまだその鎧に似合わない籠を持って私とお二人の間に立っていた。
そして一歩私を庇うように前に出てそう言った。その姿に何故かは分からないがドキリとした。
「ん?そうか!ゴウセルがいるんなら問題ねえな!」
んじゃ俺は酒でも飲み行くか!!とメリオダス様は早々と去って行った。
「えー!?待ってよー!団長ーボクも行くー!あ、じゃーねユウキ、ゴウセル!」
こうしてディアンヌ様もズンズンと足音を立てながらメリオダス様を追いかけて行った。
そんな一連の流れをぽかーんと見送っていると行くぞ、とゴウセル様が歩き出した。
我に返り、慌ててゴウセル様の後を再び追いかけながら、次のお仕事である掃除と食事について考えるのだった。
一方立ち去ったメリオダスとディアンヌは…
「団長ー!ボクを置いて行くなんてひどいよー」
「わりぃわりぃ!面白いもん見ちまったからつい」
「確かに!ゴウセルがあんなにユウキのこと気に入ってるとは思わなかったよー」
「でも肝心のユウキは欠片も気付いちゃいねーけどな!」
これから面白そうだ!とニコニコするメリオダス。
ユウキのことは気に入っている方なのでゴウセルにとられそうなのは癪だが、団長が楽しそうならそれでいっか!と嬉しそうなディアンヌ。
この二人の会話がバンの耳に入り、ユウキにトラブルがやってくるのはまた別のお話。
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