続き物
大犯罪者達の子育て日記3
※相変わらずロリコン、でも今日は…







ユウキは城から少し離れたマーリンの館に来ていた。

館の主であるマーリンは瞬間移動術でゴウセルの部屋で昼寝をしていたユウキを館に連れて来た。
これはただの思い付きなので、ゴウセルには何も言っていない。
もちろんこのことがゴウセルにバレればマーリンとて知られたくない過去の一つや二つ暴かれてしまうだろう。
だがそこはブリタニア一の魔術師。
外出中のゴウセルに一切気配を悟られることなく侵入し、無事にユウキを己の館に連れてくることが出来た。

果たして、才能にあふれるその力をここで幼女誘拐に使うのは如何なものだろうか。
今マーリンに対してそんなことを言える者はこの場にはいない。
今は館の専属の使用人も出払っており、マーリンとユウキの二人きりだ。

客間のソファーに眠っているユウキが目を覚ます前に、例の実験の準備をするべくマーリンは自室に向かった。


一方ゴウセルが外出から戻ると、自室から寝ているはずのユウキの気配を感じられなかった。
もしやと思い勢いよく扉を空けると、ベッドはもぬけの殻だった。
ベッドを観察し自力で布団を剥いだ跡がなく、かつ若干体温が感じられるので、ユウキが連れ去られてからそう経ってはいないとゴウセルは考えた。
犯人の匂いはベッド周り以外と部屋の外には一切なかった。
ユウキが抵抗した様子もないので、恐らくよほど相手が手慣れていてユウキは眠ったままだったのか、もしくは顔見知りかのどちらかだ。

可能性としてはどちらもあり得ることだった。
外出とは言えゴウセルは城内にいたので、自分の部屋に誰かが向かえば気付く筈である。
しかし気配を上手く隠したもしくは瞬間的に現れた者の仕業であれば見落としたということも考えられる。
この時間使用人は昼休憩に出ているので人通りは少ないが、その代わり見回りは強化される。
となれば、気配を悟られずに連れ出せるのは城内にいる実力者か権力者、つまり聖騎士以上の者又は七つの大罪だ。

ここである程度の絞り込みが終了した。
ゴウセルの予想では七つの大罪の誰かが犯人の確率である可能性が高いが、未だ人物の特定には至っていない。
ここは虱潰しに当たっていく方が早いと判断したゴウセルは、連れ去られたユウキの行方を追うために部屋を出た。


まずは自室から一番近い所から探していく。
廊下に出ると、丁度開いた窓からキングが空を飛んでいるのが見えたので、ユウキについての記憶を探索の光(サーチライト)で見る。
記憶を読まれたことに気付いたキングがゴウセルの所へ飛んできて文句を言っているが、当の本人は知らん顔(鎧を着ているため外からは見えない)で一言呟いて歩き去った。


「ゴウセル!!今オイラの心を読んだ!?止めてくれって言ってるだろ!!?」

[キングではないようだな。…次だ]

「え、ちょ!無視するなよ!………一体何だったんだ?」


話も聞かず去っていくゴウセルを、キングは先程の怒りも忘れポカンとした顔で見送った。

ガシャガシャと鎧の音を立てながら、ゴウセルが次に向かったのは中庭だ。
中庭から離れの塔に繋がる廊下がある。
そこを突っ切るとよくバンが昼寝している塔に着く。
無言で扉を開けてまわり、バンを見付けると問答無用でサーチライトを使う。
キングの時とは違い、バンは眠っていたので騒ぎになることなく穏便に済ませることが出来た。
もし仮に騒いだとしても恐らく今のゴウセルなら華麗にスルーするだろう。

その後エスカノール、ディアンヌを調べたが何も知らないようだった。
残るはメリオダスとマーリンの二人だけだ。
メリオダスは城下の酒場にいるとディアンヌが言っていたので、ユウキを連れ出した可能性は低い。
となるとマーリンが犯人ということになる。
そう考えたと同時にゴウセルはマーリンの館へ向かった。


ここに至るまで30分。
マーリンがユウキに実験をするには十分な時間だった。



ゴウセルがユウキを探している30分の間に、マーリンは自身の開発した薬を眠っている少女にどうやって飲ませるか考えていた。
子供全般に当てはまることであるが、その例に漏れずユウキも薬というものが苦手だった。
一言薬と言ってしまったら、もう飲んではくれないだろう。
マーリンは薬と悟られぬようジュースとして飲ませることにした。


「ユウキ、起きろ」

「ん〜、ごーせぅ〜?」

「残念だが私はゴウセルではない。喉が渇いただろう?ジュースがあるぞ」

「あ、まーりんだ…おはよぉ」

「おはよう。ちゃんと挨拶が出来てユウキは偉いな」

マーリンはユウキを褒めながら頭を撫でた。

「えへへ〜ねぇまーりん、ごーせぅいないの?」

「あぁ、今はお前と私だけだ。ジュースは飲むか?」

「のむぅ!!」


マーリンに褒められて嬉しかったユウキは今自分がどこにいるのか、そして何故いつもいるはずのゴウセルがいないのかも考えずにジュースを欲した。
寝起きで喉が渇いていると予想しそれが的中したマーリンは、ユウキにジュースを渡しながら自身の実験結果を見守る姿勢に入った。


「ほら、溢さないようにゆっくり飲むんだぞ」

「はぁい!…ごくごく、ごくごく」

「味はどうだ?」

「おいしーよ!…でもふしぎなあじする……よ、」

「どうかしたのか?」

「うぅん、からだがむずむずしてあつい…ちょっといたい(ぐすん)」

「大丈夫かユウキ?体が痛いのか?」

「う、ふぇ…いたいよぉ」


上記の会話だけを聞くとかなり危ない状況を連想してしまうが、あくまでこのシリーズは全年齢向けである。
次第に泣き出してしまうユウキに、マーリンは薬の配合を間違ったかと考えていた。
だがよく見れば、彼女の体にはマーリンが薬で欲した効果が表れ始めていた。
その様子を見て少し微笑みながらユウキの服を脱がし、あとはゴウセルが来るのを待つだけだとユウキがいるソファーの向かいにある椅子に腰掛けた。
対するユウキは自分の体に何が起きているか分からず困惑し、痛みと熱さを紛らわすために近くにあったシーツを握りながら涙していた。
そのうち痛みは無くなり、強い熱さだけが残った。


バタンッッ!!!!!


[マーリン、ユウキは何処にいる?]

「おや、思ったより遅かったな。待ちくたびれたよ」


館の扉を叩きつけるように開けたゴウセルは、椅子に腰掛けていた館の主たるマーリンにユウキの所在を問いただした。
やや殺気を放っているゴウセルにマーリンは余裕の笑みを浮かべながら、彼に探し物の在り処を教えた。


「お姫様ならそこにいる」

マーリンが指差した先のソファーでうずくまるユウキを見てゴウセルはこう言った。

[…どうなっている?匂い、外見は同じだが骨格や年齢などは別人だ。ユウキに何をした?]

「ちょっとした実験をした。数日すれば元に戻る」

[マーリン、覚悟はできているんだろうな?]

「おぉ怖い。だがお前がユウキから目を離していなければこんなことにはならなかったんだ。

それに良いのか?私に構っている暇はないと思うぞ」

「ごーせるっ…!!」


マーリンの言葉とほぼ同時に、ユウキがうずくまっていたソファーにいた少女がゴウセルに飛びついた。
その少女は真っ白な長い髪に真っ赤な目、ここまではユウキと同じだが体は16歳程に成長していた。
少女の突然の行動に一瞬気を取られたゴウセルを見て、マーリンはすぐさま瞬間移動術を使った。
ゴウセルがそれに気付いた頃にはすでにマーリンは居なくなっていた。


仕方なく自身に縋り付いて泣いている少女をいつも自分がユウキにしているように抱き上げた。
そして改めて本人確認をしてみる。

[お前は本当にユウキか?]

その言葉に少女は頷いた。
ゴウセルにはそれだけで十分だったので、とりあえず着せるものを探した。
用意周到なマーリンのことだから何か着せるものを準備しているはずだ。
そう考え客間を見渡すと、隅にあるテーブルの上に女物の服が置いてあった。
それをすすり泣くユウキに着るように言ったが、着方が分からないようだった。

置かれていた服はブラ以外の下着、白のキャミソールのようなトップスと紫のカーディガンそして黒のロングスカートだった。
さすがにサイズが分からなかったのかブラと靴はなかった。
ゴウセルは成長したユウキに服を着せた。
その時全く体つきの変わった彼女に対して何とも例え難いゴウセルが今まで感じたことのない感情というより衝動のようなものが湧いた。
しかしそれをゴウセルは見た目が変わったからと思い、そこで片づけた。

それがこの後ゴウセルにトラブルを招くことになるのである。







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