続き物
助けてマーリン様!
※専属使用人になって数日
――ドカーン!!ドガガガガ、ガラガラ…
また掃除が増えた…
思わず白目になってその光景から目を逸らした。
だがいつまでも現実逃避しているわけにはいかない…私には仕事があるのだ。
そう、後片付けという名の仕事が。
「バン!これで385戦193勝192敗で俺の勝ち越しだな!!」
「あ〜?勝負はまだまだこれからだろ、団ちょ♪」
――ドォン!!ガラララ…ガッシャン!
やべぇよ。何なんだよ七つの大罪。マジ規格外だわ。
え、もうそんなとこ居んの?人間技じゃねぇよ。
と、思わず素が出てしまうくらいには衝撃を受けている。
本人たちにはじゃれ合いのつもりでも、私のような一般人には天災級の被害だ。
特にこの後の片付けや修理にも駆り出される私の身になってほしい。
そろそろこの離れも限界だろう。総崩れを起こす前に誰かこいつ等を止めてくれ。
そう思い、半泣きになりながら助けを求めに城へ走った。
誰に助けを求めるべきか。
まだ七つの大罪の使用人になってから日の浅い私は、先日初めて自己紹介した彼らのことを必死で思い出した。
「本日付けで七つの大罪専属の使用人になりました、ユウキと申します。どうぞよろしくお願いします」
「おぅ!よろしくなユウキ!俺は団長"憤怒の罪"のメリオダスだ!」
「ボクは"嫉妬の罪"のディアンヌだよ!よろしくね!」
「僕は"怠惰の罪"のキング、よろしく」
「俺ぁ"強欲の罪"のバンだwwま、よろしくな〜♪」
[俺は"色欲の罪"ゴウセルだ。よろしく]
「私は"暴食の罪"のマーリン。よろしく頼む」
「ぼ、僕は"傲慢の罪"エスカノールです…」
それぞれが鎧を纏っていて頭だけ出ている状態だった(ゴウセル様以外)
思ったことは沢山ある。
何故団長は子供なのか、巨人族大きい、どうやって戦っているのかなどなど。
それから数日、顔合わせ以降一度も会っていない人もいる。
メリオダス様とバン様のじゃれあいは時折見掛ける。
だが、城内で塔をぶち壊すレベルのは今回が初めてだった(いつもは外でやっている)
七つの大罪は七つの大罪で止めるのが良いだろうと考え、今探しているわけだが、人選が大事だ。
最初に会った時から団長に色目使わないでよ!と威嚇していたディアンヌ様は、恐らくお二人を止めないだろう。
キング様に頼むのはバン様とのやり取りを見る限り何だか不安だ。
ゴウセル様は心を読むことが出来るようで、正直あまり関わりたくない。
マーリン様は、自己紹介以来会っていない。
エスカノール様も同様だ。
…誰も頼れなくないか?
走っているせいか、それとも不安か、汗が止まらなかった。
それでも誰でも良いからと走っていると、やっと人影を見付けた。
誰でも良い!二人を止めてくれ!
今も足元がお二人のじゃれあいの余波で揺れている。
「ん?確かお前は…使用人のユウキだったか。どうした?」
何と歩いていたのはマーリン様だった。
私は必死に状況を伝え、止めてほしいと頼んだ。
「そうか。二人のアレは放っとけば収まる。それまで待てば良い」
「それだと塔がもちません!これから夕食の支度もありますし、何とかなりませんか?」
「夕食が遅れるのは困るな。…分かった。私が何とかして来よう。お前は仕事に戻れ」
「ありがとうございます!」
直後、マーリン様のお姿が消えた。
お二人を止めに行っていただけたのだと思い、そのまま私は仕事に戻ることにした。
ついでに厨房のコックにお願いしてマーリン様の夕食を豪華にしてもらった。
聞いた話によると、マーリン様は二人に瞬間移動術を掛け、国外に飛ばしたらしい。
数日彼らを見掛けなかったのはそういうことだったのか。
それからお二人が城内でじゃれあう事は減り(無くなりはしない)、私のマーリン様への株は上昇した。
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