続き物
ディアンヌと女子トーク?
※専属使用人になって一か月以上過ぎている
午前の仕事が無事終わり、昼休憩に入ろうとした時、柱の奥に人影が見えた。
それは徐々に大きくなり、私が姿を視認出来るようになってくると話し掛けてきた。
「やあユウキ!!これから休憩?だったらボクとお話ししようよ!」
声の主はディアンヌ様だった。
可愛い笑顔を振り撒きながらこちらに駆け寄って来る。キング様が夢中なのにも頷ける。
皆様の昼食は朝とは違いそれぞれ城下町に行ったり部屋に篭ったり好きにしているので、私の仕事には入らない。
最近は戦いが無いようで暇なのか、よく七つの大罪の方々に遭遇するような気がする。
私としては怖かったり騒がしかったり迷惑な時もあるが、楽しくて頼りになる大切な主達なので危険な場所やことはしないで欲しい。
戦いが無いことは私にとっては嬉しいことだ。
生物が存在する限り争いは起きるものだが、その度に誰かが哀しい思いをするのは嫌だった。
話が飛んでしまったが、とにかく最近は暇を持て余している主達の相手をすることが昼休憩の専らの使い道だ。
「ディアンヌ様、どこでお話されますか?
昼食もご一緒にお持ちします」
「ありがとう!ボクも手伝うよ!
じゃあ城の外なんてどーお?」
「良いですね。では準備して参ります」
昼食は厨房に行ってお願いすれば作ってもらえる。
ディアンヌ様と昼食をご一緒する時は外に行く事が多い。
巨人族であるディアンヌ様は、この城に来る前は外でお過ごしになることが多かったからか、室内に居るのは慣れないそうだ。
城の天井は高く、通路は広いため巨人族のディアンヌ様でも利用することが出来る。
ただ、それは離れと城の庭や大広間などの大きく作られている所だけで、特に使用人が使う通路はゴウセル様がギリギリ通れる位の高さしかない。
それでもやはり大きい方なので、多分だが匍匐前進すれば入れないことは無いと思う。あまりやらないと思うが。
ディアンヌ様を厨房にお待たせして、一旦部屋に戻り、外套を持ってすぐに出た。
待ち合わせ場所に着くと私の足では日が暮れてしまうと言われ、ディアンヌ様に昼食ごと抱えられた。
前にもこんな事があった気がする…とデジャヴを感じた。
さすが巨人族と人間ではやはり歩幅が決定的に違うので、普通に歩くだけでも十分に速かった。
歩いているだけなのであまり揺れが激しくないからか、いつかの時のように酔うこともなく目的地に到着する事ができた。
「さ、ユウキ着いたよ〜!ここはこの城の近くでも良い景色だから気に入ってるんだ♪」
「確かに綺麗ですね…」
ディアンヌ様の手から顔を出して外を見ると、広い草原があり丘の上には一際大きな大木(ディアンヌ様より少し高い)が立っていた。
ディアンヌ様はその大木の根元まで登っていき、私(と昼食)を降ろしてくださった。
「ここからの眺めは特に夕暮れ時が最高なんだ!
城に夕日が当たって綺麗なんだよ」
「そうなんですか?私も見て見たいです」
しかし私はこの休憩が終わったらまだ仕事があるので、きっと見れないだろう。…残念だ。
「そっかぁ、ユウキは忙しいもんね…。じゃあ今度休みの時に一緒にどっか行こうよ!」
「分かりました。では休みが決まりましたらお伝えしますね!」
「うん!約束だよ!」
ディアンヌ様と指切り(ディアンヌ様の小指に対して私は手の平全部)をした。
身体は大きいけど心が乙女なディアンヌ様可愛い…。
というか大きさで分かりづらいが等身大にしたらかなりスタイル良いと思う。
だが何故かメリオダス様はディアンヌ様にはセクハラをしない。
私がされていることはディアンヌ様には内緒だ。
これは私がメリオダス様を好きだからとかではなく、私とメリオダス様の身の安全のためだ。
私の疑問がディアンヌ様にも伝わったのか、シェフに頼み込んで作ってもらった豚の丸焼きを齧りながらぽつりと呟きが聞こえてきたので、耳を傾けてみた。
「ねぇユウキ、なんで団長はボクに振り向いてくれないんだろう…。やっぱりボクが大きいからなのかな?小さくなったら団長はボクのこと見てくれるのかな?」
結構ヘビーな呟きだった。
確かにディアンヌ様は大きいが、メリオダス様が靡かないのはそれだけではないように思う。
七つの大罪それぞれの過去や生い立ちについては、国王様からお互いに詮索してはならないという掟があるらしく、詳しいことは私にも分からない。
何も知らない私が出しゃばって良いはずもないが、せっかくの昼食がしんみりしてしまうので、この場はフォローすることにした。
「今のままでも十分素敵です。小さくなくたってディアンヌ様を好かれる方が絶対いますよ(キング様とかキング様とかキング様とか)」
「ボクは団長に好かれたいの〜!!他の人じゃ嫌だよ〜」
逆効果だった。すみませんキング様。
このままでは半泣きのディアンヌ様がメリオダス様に突撃しかねないので、最終手段に出ることにした。
「ディアンヌ様。メリオダス様は分かりませんが、少なくとも私はディアンヌ様は可愛らしいと思いますし、大好きです。それではいけませんか?」
「うぅ、ユウキがボクのこと…?ホントに?」
「はい。メリオダス様でなくて申し訳ないのですが…」
「ううん!!嬉しいよ!いつもユウキはボク達に遠慮してるから、てっきりボクユウキに好かれてないと思ってた!!」
それは初耳だった。
そんなに私の態度はよそよそしかったのかな?
「あ、違うよ!悪い意味じゃないんだ。ユウキはいつも仕事に一生懸命だから、ボク達のことを主として見てくれてるのも分かってるんだ…でもそれが逆にボクにとっては寂しくて…七つの大罪で巨人族なボクとまともに話してくれる女の子なんてユウキくらいだし…」
ディアンヌ様の思っていたことは大体理解できた。
確かに休憩中も仕事中も主と使用人の立場は消えないので、お話しするときも一線引いてしまっている。
私はそうするべきだと思っていたが、ディアンヌ様にとってはそうではなかったらしい。
「ディアンヌ様、私はただの使用人でディアンヌ様は主人です。ですが、もしディアンヌ様がそうお望みなら、私は叶えるよう努めますよ。」
「ボクが…望んだら?ユウキは叶えてくれるの?」
「はい、私に出来ることなら。ディアンヌ様には笑顔でいてほしいですから」
私がそう言うと、ディアンヌ様は少し驚いた顔をしてたが、一拍置いてこう言った。
「じゃあ、ボクと友達になってよ!!
あ、友達になるからには呼び捨てね!それから敬語もなしだから!」
あっという間に捲し立てられちょっと唖然としてしまったが、嬉しそうなディアンヌ様を見てま、いっかと考えるのをやめた。
しかしここで大事なことを聞き逃していた。
「あの、敬語も止めるのですか?様付けは正式な場でなければ良いのですが…」
「勿論だよ!敬語じゃすぐ元に戻っちゃいそうだもん!」
「わ、分かりました。…あ、分かったわ」
間違えて敬語で話してしまった時のディアンヌの顔が怖かった…美少女は怒ると怖いのね。
こうして私とディアンヌの距離はこの一日でかなり(?)縮まったのでした。
――その後
「(もぐもぐ)そういえばさ〜」
「なに?(もぐ、ゴクゴク)」
「(もちゃもちゃ)ユウキはゴウセルとどんな関係なの?というかどこまで行ってるの?」
「ぶふぅ!ゲホゲホ…ど、どんなって…多分ディアンヌが想像してるような関係じゃないことは確かだよ」
「え〜?ユウキはそう思ってるかもしれないけど、ゴウセルはどうか分からないよ〜?」
「ゴウセル様は優しいしいい人だとは思うけど、そう言う対象じゃないよ。むしろゴウセル様が私なんかが相手じゃ可哀想でしょ」
「そんなことないと思うけどな〜
(ってかそのゴウセルが優しいってのがそもそも有り得ないんだって。あの空気読めないゴウセルがだよ?いやいや無いよ。こりゃああの鎧問い詰めないといけないかな?)」
帰りは勿論ディアンヌに送っていただきました。
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