Dream
俯瞰風景W
幹也が深い眠りについて,もうどの位たったのだろう。
彼は例の廃ビル,巫条ビルを調査しに行ったのを最後に―――。
「幹也…。いつ起きるの?」
私は今学校帰りに幹也の仕事場,伽藍の堂に来ている。現在,橙子さんも式も出払っているが。
ソファーに座らされて,体が少し前のめりになっている幹也。
私は幹也の前にしゃがみ込んでそんな彼にそう話しかけていた…。ただ,私は寝ている幹也の顔をじっと見つめる。今にもその閉じた瞳が開き,いつものように微笑んで,おはようと言ってきそうだった。
―――実際,目覚める気配は一向にない。
幹也が何故こんなことになってしまったのか,私はよく知らない。式や,橙子さんは教えてはくれなかった。
まぁ,原因があの巫条ビルにあるということは,馬鹿な私にだって大体の察しがつく。
きっとあと何日か経てば,式がその廃ビルに乗り込み、いつものように無事,問題は解決するだろう。
幹也だって直に目覚める。
私は只待っていればいい。
―――それなのに。
「やっぱり,あの夢…」
私は式に相談した夢とは,また別の夢を昨日みた。
その夢で,彼女は意味深な言葉を残していった―――。
************
私はある病院にいる…。
見覚えはあった。
そこは,つい最近友達の見舞いできた場所,そして―――。 式が長く眠っていた場所でもあった。
廊下をひたすら歩っていると,ある一つの個室の前で私の足は止まった。
中を覗けば,ベッドの上に―――、あのビルにいた女の子が外を眺めていた。
こちらに気付いたのか。彼女はゆっくりと私の方を振り向き,光を映さない目で私を捉えた。
彼女は口元に笑みを浮かべ,
「待ってたわ」
そう一言言った…。
そして彼女は続けた。
「私のこと。―――覚えてる?」
「―――?」
「やっぱり…。でも無理もないわよね。―――あれからもう何年も経っているもの」
どこか寂しそうに,そして何かを悟ったかのように彼女は言いった。私は彼女に話しかけようとしたが,……声がでてくれない。どうしてッ。
「あの人……返して欲しい?」
急に彼女の声音が変わった。
「返して欲しいのなら,
―――会いにきて」
彼女は切なそうに,そして今にも消えてしまいそうな微笑みでこう言い残していった。
******
気が付くと私は,伽藍の堂をでていた。外はもう日が暮れている。
そうだよ。私が行けばすべて終わる。
会いに行こう。
―――彼女に…。
巫条霧絵に―――。
あとがき
霧絵さん主人公の夢枕にたちすぎです\(^p^)/←
でもついに巫条ビル行きます!そして実は主人公あの時,霧絵さんにあってます。
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