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Dream
第2話

昨日の夜は災難だった。
突然わけのわからない少女が家に侵入してきてはとんでもない力差でアーチャーやセイバーを窮地に追いやった。しかし,そのあと少女は突如苦しみだしその場を去っていってしまったのだ。
一体彼女は何者なんだ…。

「ーーーこら!質問ならHRのあとで!えっと佑月さんの席は,士郎!手挙げて。ほら,今手挙げたあの子の隣の席だよ」

「え…?」

藤ねぇの元気な声と無意識に挙げていた手によって俺はやっと我にかえった。
どうやら今日は転校生がきたらしい。だから今日,藤ねぇは朝早かったのか。

「よろしく,えっと…」

頭上から声がする。

「あぁ,衛宮,俺は衛宮士…っ?!!」


その転校生に軽い自己紹介をしようと顔を向ければ…

そこにいたのは昨夜,俺達を襲ってきたあの少女だった。





***



「どうなってるんだ遠坂?!」

昼休みが始まって俺がすぐ屋上まで走った。
現在,遠坂とはバーサーカーを倒すまで協力関係を結んでいる。それ以来屋上で待ち合わせをしこうして情報を共有しあっている。
まぁ,今じゃ遠坂は俺の家に下宿しているが…。
「私だって知らないわよ!。朝学校に来てみれば,とんでもない魔術反応がするし…,まさか学校に来るだなんて」

「俺達を追ってきた…」

「どうかしらね。私たちだけが目的とも限らないわ」



「さすが,察しが言いねアーチャーのマスター」

『っ!!』

突如声がした。そう,昨日俺達を襲ってきたあの少女の声だった。



「盗み聞きなんて良いご趣味ね」


「ふふふ。そう怒らないでよ」

静かに。その少女,転校生の佑月智香は俺達の前に姿を現した。襟足だけ伸ばした漆黒の髪に碧眼の瞳,中性的で美しい顔立ちは昨日となんら変わっていなかったが…,全体的に雰囲気が違う。


「あなた,人間…?」

「勿論。人間だよ,でも…サーヴァントでもあるのかな?」

佑月は楽しそうに話す。瞬間,佑月は俺のほうに顔を向けた。

「セイバーのマスターの…衛宮くん,だっけ。別にボクは君たちマスターなんてどうでもいいんだよ,しいて言うなら…ボクの目的はサーヴァント」


「サーヴァント,だって…?」

「うん!今回の聖杯戦争で必ず終わらせるからね」

今回の聖杯戦争で?どういうことだ。いまいちこの少女の目的が見えてこない。

「それじゃあ,どうして昨日は逃げだのかしら」


遠坂の問いに佑月からさっきまでの笑みが消えた。


「昨日のあの場で簡単にセイバーとアーチャーをあなたなら仕留められたはずよ。なのにーー」


「あはっ。どうしてかって………?,そんなの君らに話す義務はない」

『ーーーっ』


途端にもの凄い威圧感が俺達を襲う。あぁ,確かに佑月は昨日のあの少女だ。もう冬だというのにさっきから大量の汗が頬を伝う。

「でも…,そんなにボクのこと知りたいならセイバーを連れて此処に来るといい。あぁ,でもアーチャーのマスターは駄目だよ」

そう言って小さな紙を俺の手を取り渡す佑月は,また先ほどの邪気のない笑みに戻る。さっきまでの人物とは別人のようだ。


「あ,そろそろ昼休みも終わるね」


丁度昼休み終了を告げるチャイムが鳴る。
またね,軽い一言残し佑月は先に屋上を去った。



佑月が屋上を出て行った瞬間,今まで張り詰めていた緊張の糸が一気に切れ,俺はその場に仰向けに倒れてしまった。遠坂も同様その場に両膝をつき放心状態。


「どうするのよ,士郎」


「どうするって,行くしかないだろ」




手の中にある渡された小さな紙を俺はその存在を確かめるかのように静かに握りしめた。

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あきゅろす。
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