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Dream
第1話



カランカランっ!!


突然衛宮邸の結界がけたたましく鳴り響く。
先ほどまで夕食をすませ一息ついていた士郎達は,いきなりの奇襲に身構えていた。

「おい,遠坂。今の…」

「ええ,何かがこの屋敷に侵入してきた,でも…この気配」


「サーヴァント…いや,人間か?」

セイバーは訝しげに呟く。
私服だったセイバーは一瞬で武装しリビングの障子に手をかけた。その時,カキィンと刃物同士がぶつかり合う音が外から聞こえた。


「アーチャーだわ」

「急ごう」


士郎達は急いで中庭に向かった。


***


「貴様…何者…だ?」

屋根の上で見張りをしていたアーチャーは,突如衛宮邸に侵入して来た人物といち早く中庭で対峙していた。


「お前は,アーチャーか」


アーチャーを見据え静かに呟く,その少女こそ衛宮邸に侵入したきた張本人。襟足だけ伸ばした漆黒の髪に碧眼の瞳という自然では有り得ない組み合わせ。そして少年とも少女とも見える中性的で美しい顔立ちのその少女は,片手に身の丈程の剣を構えていた。

しかしアーチャーを見れば既にその身にいくつもの傷を負っていた,それに対しその少女は無傷。力の差は歴然。再度切りかかろうと少女が剣を構えた瞬間,








「アーチャー!」

中庭に士郎達がやってきた。
凛はいちはやく片膝をついていたアーチャーに駆け寄る。

「その傷っ!」
予想以上にやられていたアーチャーの姿に凛は驚き目を見張る。

「セイバー!」

「はい」

士郎の呼び掛けにセイバーは少女に向かって不可視の剣を構える。

「お前はセイバー…。ふふっ,今日は運が良いよ。一気に二騎のサーヴァントを殺れるなんて」

月明かりの下で少女は卑しく笑う。
刹那,少女は一気にセイバーの間合いをつめ剣を振り上げた。それを寸前で受け止めるセイバー。
カキィンカキンと金属が激しくぶつかり合い火花が散る。


「なぁ遠坂,あれはサーヴァントなのか?」

少し離れた場所でセイバーと少女の戦いを見つめる士郎が,凛に問いかける。しかしどうみてもセイバーが押されている状態だ。

「もし人間だったとしてもあれだけ,しかもセイバーと渡り合えるなんて何者よ…」

苦虫を噛み潰したような顔で凛は少女をきっと睨みつける。

「凛,あれはサーヴァントではない。しかし…人間とも言い難い」

「ーーー…は?ちょっとアーチャーそれどういうことよ」

アーチャーの抽象的な物言いに凛は意味がわからないとさらに顔をしかめる。その時だった,丁度少女の剣がセイバーの懐に入り,纏っていた鎧を砕いた。

「セイバー!!!」

士郎の悲痛な叫びが中庭に響く。セイバーは数メートル飛ばされ,その場に倒れこんでしまった。しかし容赦なく少女はセイバーに止めを刺そうと剣を掲げる。その光景に堪えきれず士郎は駆け寄よろうと走りだそうとするが,


「う゛っーーーぐっっ…!なんで…こんな,時に…」

いきなり胸を押さえ少女は激しく苦しみだした。一瞬,夥しいほどの魔術刻印が少女の身体中に浮かび上がった。



「今日はここまで…か…」


少女は苦痛に顔を歪めながら塀になんとか飛び乗り,そのまま外に逃げてしまった。
しかし士郎達はそれを追おうとはしなかった,いやあの場で離脱してもらえて士郎達にとっては,反対にとても幸運なことだっただろう。

士郎はセイバーに駆け寄り,横たわる彼女を抱き起こす。
「大丈夫か,セイバー!」

「はい…なんとか…,しかしあの少女は一体…」


セイバーは士郎に支えながらもなんとか立ち上がった。苦痛に顔を歪め,先ほど少女が逃げていった塀を見つめる。


「あの剣…,まさか」





***





「なんでっ…だ,なんで痛むんだよ…」


衛宮邸から数キロ離れた所で少女,智香は座り込み先ほどから痛む身体を抱きしめる。

自分は呪いのせいで不死の身体と魔術を使用した時に身体に激痛が走るというデメリットを負わされているはず…なのに,先ほど魔術を使っていないはずが,何故セイバーに止めをさそうと剣を振り上げた時今までに味わったことのない鋭い痛みが全身に走ったのか。



ーーーいや,あれは,産まれつきの呪いなんかの痛みではない。

きっと…身体が無意識にブレーキをかけたのだろう。アルジをを殺シては,ならないとーーー。



「これも何かの因果か。まさか今回の聖杯戦争に貴女…ーーーアーサー王がいるなんて」


髪をかきあげ,私は力なく星が煌めく夜空に視線を移した。







そしてーーー智香はそっと目を閉じた。



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あきゅろす。
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