Dream
俯瞰風景T
本当は空を飛べると知っていたから
羽ばたくときが怖くて風を忘れた
何処へ行くの
遠くに見えるあの蜃気楼
いつか怯えながら
二人の未来を映して
「で,和は一体なにしにきたんだ?」
先ほどまで水を飲んでいた式が,痺れを切らしたか呆れながら私の方を見た。
式の部屋に押し掛けてから,もうどのくらいたったのだろう。気がつくと外はもう綺麗なオレンジ色に染まり,私はベッドの上でただ何をするでもなくゴロゴロしていた。
「式に会いたかった,って言ったら怒る?」
顔を薄いブランケットにうずめながら,少しふざけて言ってみた。
「へぇ,どの口がそういうことを言うんだ?」
ベッドのスプリングが微かに軋み,式がベッドに乗ってきたのだろう。私は顔を上げてそれを確認しようとしたが,にゅっと細くて白い腕が伸びてきて軽く両ほっぺを抓られた。
「いひゃい,いひゃいって式!」
「よく伸びる頬だな。」
式は楽しそうに私のほっぺを寄せたり,伸ばしたりと遊んでいる。ちょっと式さん…今うち凄い顔してるよ。
「あ゛〜,わきゃた!わきゃたから,はにゃしてくらはいっ!!」
「……たく,わかればいいんだよ,ほら。」
式は飽きたのか,すんなり手を離してくれた。まだジンジンするほっぺをさすりながら,私は此処へきた本当の目的を言った。急に深刻そうな顔になった私を見て,式も空気を読んだのか静かに私の話しを聞いてくれた。
「最近……変な夢,見るんだよね」
「変な夢?。」
「うん。なんかさ,気がつくといつも同じビルにいて…何処のかわからないんだけどね。
それでいつも,あたしはエレベーターに乗ってそのビルの屋上に行くの。着くと初めて今が夜だってわかるんだよ。辺りを見回せば髪の長い…白い服を着たとても綺麗な女の子が1人……浮いてて…」
「浮いてる…」
今まで黙っていた式が訝しげに私の言葉を復唱する。
「そう,浮いてるの。それでその女の子があたしに微笑みながら,手を伸ばしてきて…こう言ってくるんだ。――――〈一緒に飛びましょう〉って……。そこでいつも夢が醒めるんだよね。」
アハハハ,変な夢でしょと私は自分に言い聞かせるように式に言えば,まだ式は何か考えているのか微かに眉間にしわがよっていた。
そのあと私は式に一言断り,冷蔵庫にある水を少し貰った。
横目で式を見るが…まだベッドに座って何かを考えてる。
「その夢…」
「え?」
「その夢は,いつ頃から見るんだ?」
いつ頃……,確か……そうだ。友達の見舞いに近くの病院にいってから。
―――いや,世間で飛び降り自殺が騒がれるようになってか,ら?
「し【ピンポーン】
私の言葉を遮るかのようにインターホンの音がなった。
しかしすぐにでようとしない式。
『………。』
「…でないの?」
「いいから,続けろ。」
「いや,ダメでしょ」
『……。』
沈黙と私の視線に耐えられなかったのか,式はしぶしぶドアに向かった。
私はそんな式の背中を見送り,もう一度ベッドに倒れ込んだ。あ―,最近あの夢のせいでちゃんと寝れてないんだよなぁ…。うとうとしていると玄関の方から幹也の声が聞こえてきた。でも,私は襲いかかる睡魔に勝てず遠くに聞こえる式と幹也の会話をBGMにそのまま深い眠りに堕ちてしまった。
―――――今晩もあの夢を………あの女の人に……逢うの…だろうか―――
あとがき
最初に……夢小説といいつつ変換全然なくすいませんでした;(土下座
そして初っぱなからオリジ要素前回v←
勿論,主人公の夢にでてきた女の子はお察しのとおりあのお方です(笑)
次からは原作入ります!…多分←こら
では,次のあとがきでお会いしましょうω`)ノシ
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