Dream
第1夜
「行ってきます」
返事なんかかえってくるはずのない,誰もいないマンションの一室にそう言ってオレは学校へ向かった。
オレこと佑月茅夏は両親はいない。
佑月は昔から由緒ある退魔師の家系。しかしオレが7歳の時,何者かに屋敷に火を付けられ両親及び一緒に住んでいた佑月の血縁者はオレを残し皆他界。
今はなんとか遠縁の親戚からの援助や親の残した遺産,バイトで生活している。
現在オレは学校から近いマンションに1人,…いや1人と1匹との暮らしをしていた。
******
「茅夏ちゃん今日は教室掃除だからね」
今は放課後。
帰り支度をしていたオレに弓塚はそう釘をさして,持っていた箒を渡してきた。
「げっ,教室掃除って一番めんどくせぇじゃん」
オレは渋々その箒を受け取る。
「そういうこと言わないの」
「そうだぜ。おまえだけ帰ろつったってそうはいかせねーからな」
いつの間にか遠野と乾もいた。今日はこのメンバーか。弓塚や乾とは結構話すが,遠野に至っては挨拶を交わすぐらいだったからついまじまじと彼を見てしまった。
―――でも,なんでか遠野って初めて会った気がしないんだよな
「ふんっ。それ乾が言えるセリフか?なんだかんだ言っておまえが一番さきに帰りそうだけどな」
「確かに…」
ニヤニヤしながら悪態をついてやると遠野がそれに同意する。
「てめぇ,遠野まで!」
「ほらほら!早く掃除すませちゃおうよ」
そんなこんなで,弓塚の仲裁によりオレ達はやっと掃除にとりかかった。
黙々と掃除をしていること数分ふと,オレの脳裏にある疑問が浮かんだ。
「そーいえばさ,遠野。今日は珍しく放課後までいたんだな」
急に話しかけられて少し驚いたのか,遠野は少し遅れて反応してきた。
「…あぁ,うん。今日は調子良かったから」
「そっか。いや,遠野って学校くるなりすぐぶっ倒れる時とかあるじゃん。まああんま無理すんなよ」
「ありがとう佑月さ「なんだなんだ?,佑月は遠野には随分と優しいんだな」
乾が遠野の言葉を遮って,ニヤニヤしながら会話に入ってきた。
「そうか?オレは誰に対しても優しいと思いますけど乾クン?な〜,弓塚」
そう少し離れた所でゴミ袋を縛っていた弓塚にふれば,どうやら聞こえていたらしいく弓塚は満面の笑みで頷いた。
。
「え?うん!茅夏ちゃんは誰にでも親切だよね」
「ほらな?」
そんな弓塚の笑顔をみて乾はからかう気を無くしたのか,はぁと力無く溜め息を一つついた。
「佑月って…ホントにいい性格してるよな」
「お褒めの言葉ありがと」
乾の肩をポンポンと軽く叩き,気づけば少し離れた場所で先ほどのやりとりをみていた遠野と目があったので,笑いかけてみた。
―――ん,赤くなった,…気のせいか?
******
「今日は運が悪い…」
オレは恨めしそうに自分の手のひらを眺める。
只今オレは遠野とゴミ袋を持ってゴミ捨て場へと向かっていた。
誰がゴミを捨て行くか決めるジャンケンで,自分はボロ負け。
「しょうがないさ,こういう時もあるよ」
「いや,遠野こそ悪いな。手伝わせちまって」
そうだ。本当なら遠野も弓塚たちと帰っているはずなのにこうしてオレを手伝ってくれている。
いいって言ったんだけど,意外に遠野は頑固で,そのまま押し通されちまった。
「よしっ,これでイイか」
ボスッと音を立てゴミ袋を置く。
その時一瞬,オレは立ち眩みを起こし横にいた遠野にぶつかってしまった。
ガシャンっ。
遠野の眼鏡が落ちる音がした。とっさに支えてくれた遠野のおかげで怪我はせずすんだ。
「わ,わりぃ遠野。大丈夫か?」
全く今日は彼に迷惑をかけてばかりだ。まだ少しふらつく体をなんとか立ち上がらせオレは遠野を見た。
「俺より佑月さんのほうこそだい……っ?!」
眼鏡を拾いつつ同じく遠野もオレに目を向けると突如,遠野の顔がみるみるうちに青くなっていった。
「遠野…?顔色悪い――」
「ご,ごめんっ!俺用事あるの思い出して,さき帰るね。それじゃ!!」
オレの言葉を遮り遠野は逃げるよう去ってしまった。
「どうしたんだ…?」
―――やはり無理をさせてしまったのだろうか。
ただオレは遠野が走りさっていく後ろ姿を見ていることしかできなかった。
****
なんで…っ―――何で!
佑月さんの…
線が見えないんだ…
(なぁ,弓塚)(何?乾くん)(遠野と佑月2人にして良かったのかよ)(大丈夫だよ。だって茅夏ちゃん,前に,オレは和装姿で革ジャン羽織ってて短刀持ってる人が好みなんだって!)(はっ?!)
あとがき
ついに月姫までに手をだしました;乾やさっちんは動かしやすいね!←←
早くアルクやシエル先輩だしたい´∞`)でもまだ口調がつかめてない;←
最後の茅夏の好み,誰だかわかりましたか?vそうあの方です笑
次回は原作入ります
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