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Dream
ララバイ、君に子守り歌を。(50000hitリク式夢)


ある天気の良い休日,私は伽藍の堂を後にしころころと口内で最近お気に入りの梅味の飴を味わいながら式のマンションへ向かっていた。











ことの始まりはつい数時間前,燈子さんから電話がかかってきて頼みたいことがあるからすぐ来てほしいという内容だった。
こういうことは良くあることで,私はすぐに支度をして家を出る。

着いてみれば燈子さんは受話器を片手に煙草をふかしていた。
私に気付いた燈子さんは悪いなと一言詫びA4サイズの茶封筒を手渡す。
燈子さんの頼みとはその茶封筒を式へ今日に渡して欲しいとのこと。
何度電話しても式は出ないらしく困っていた様で幹也は別件で外出中,燈子さん本人は仕事が立て込んでいて外出できないと八方塞がりだったらしい。


特に急ぎの用がなかった私はその頼みを二つ返事で受け,燈子さんに別れを告げ直ぐに伽藍の堂を出た。







***



ピンポーンとチャイムを鳴らすが出てくる気配はない。出掛けているのか,ドアノブを回せば簡単にドアが開く。
また鍵もかけずにと開けて見れば,まだ薄暗い部屋の中,式は立っていた





「寝てた?」


「今起きた。で,燈子の留守電も今聞いた」


「……はあ,まあいいや。はい,これ」


本当に起きたばかりなのか,燈子さんからの茶封筒を手渡せば気怠げに受け取る。

「留守電で知ってると思うけど,今日じゅうに確認して明日頼む,だってさ」

「ふーん」


私の話を聞いているのかいないのか,これまた緩慢な動きで式は茶封筒の中身を開け数枚の紙を眺めている。

そんな様子を尻目に冷蔵庫から水が入ったペットボトルを一本貰い式のベッドに座り,行く途中に買ったコンビニ弁当を取り出す,ちなみに温め済みだ。


「式にはサンドイッチ買ってきたから」


「ああ………?」


茶封筒を床に置き,サンドイッチを受け取ろうとした式は突然くんくんとまるで犬のように鼻をひくつかせ何かを嗅ぎだす。



「どうしたのしっ…?!」


「和から匂うな」


いざ弁当の飯を口に運ぼうとすれば,突然丁度箸を持った腕を引かれ食べることはかなわなかった。


「何すんの式。てかさっきからくんくんくん。それに私は臭くない!!」

式の不可解な行動に弁当を食べるのを中断し,ふたを閉め念のためにふんふんと己の腕を嗅ぐ,が特に異臭はしない。


「いや臭いとは言ってないだろ」


そう言いながら式はベッドにのぼってきて私をゆっくりと押しては馬乗りになり首筋に顔をうずめ,匂いを嗅ぎ続ける。
その際に式のさらさらとした黒髪が頬にあたりくすぐったい。

「じゃなんだって………あ,もしかして」

まさかと思いズボンのポケットをあさり,小さな飴玉の入って袋をひとつ取り出す。


「式が私から匂うってこの梅味の飴かも」

ほら,と見せれば顔を上げそれを見る式。 ふうんと納得したと思ったら次に彼女は覆い被さる状態のまま私の上であーんと口を開いてくる。


「……え,と…式さん?」



一体何なのか,そんな式の謎な行動に呆けていればいつまでもたってもそのままの私に式は一言飴,と言う。
どうやらこの梅の飴が欲しいらしい。


「それならそうと言えばいいのに…,はい」


だが一向に受け取る気配がない。反対に眉間に皺を寄せ不機嫌モードに入る。
するとまたあーんと口を開く。
そこでやっと式の意図に気付きため息を零す。

「あー,はいはい。食べさせろってことですね」


包み紙から取り出し赤色の飴を手に取り待機している式の口に入れようと近づける,が口に入る寸前で思わぬ事態が発生した。

「っ!!!!?しししし式!!なんで,指,までっ」


そう飴だけのはずが飴と一緒に手まで式は口に含む。
抜こうにも式が突如その指に舌を這わしだしす。

その感触にびくりと体を震わせれば,式は閉じていた眸を開き満足そうに細める。


「う…っ,ちょ,式…離し…て…」


これはやばいと,どうにか離させないかと思った矢先,式の脇腹が目に入った。
効くかどうかわからないが試してみる価値はある,そう思い私はゆっくり手を近づけ式の脇腹を,くすぐった。

「――――っ!!!」



途端式は銜えていた指を離し耐えきれず私の上に重なるよう落ちてくる。
式は軽いので少しの衝撃だったが,ぐえっとカエルの潰れた様な声が出てしまった。


「…おーまーえーなー」


「し,式が悪いんだからね!いきなり,その,指舐めだして…」


「…満更でもなかったくせに」


「何か言いましたか式さん?」


「別に。あー…美味いなこれ」


首筋に式の顔があるので彼女の口内で転がっている飴の音が聞こえる。
すると妙に静かになる式に,私は彼女の背中をとんとんと叩いた。


「式?どうしたの」


「眠い…」


「眠いって,さっきまで寝てたんでしょ」

「昨日寝たの遅くてさ。それに,和がいると落ち着く,から」


するとすうすう寝息が聞こえ始める。
本格的に彼女は私に体を預け寝入ってしまった。
先ほどの落ち着くという言葉も悪い気はしなかったので暫くの間このままでいいかと今度はポンポンと優しく背中を叩く。






「あ,そういえばお昼食べそこねてたんだよなあ…」






そんな雰囲気をぶち壊すかのように私の腹の虫は無情にも音をたてて鳴りだした。














ララバイ、君に子守り歌を。





***

タカさまリクエストありがとうございました!!素敵なリクエストなのにこんな駄文で本当に申し訳ございません。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです!

title;透徹様よりお借りしました。

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