Dream
第3話
―――俺どうしたんだ。
死んだ?そりゃ,そうだろうな。あんなデカいトラックに轢かれたんだから…。
「―――ちか…ちか…」
―――ん?
誰……だ…声が,聞こえて…
「うっ……,こ,こは…?」
「ちか!やっと起きた」
重い瞼を無理矢理こじ開ければ,あの不思議な子供が満面の笑みで俺の名前を呼んだ。
「君は…」
手を伸ばし,優しく頬を撫でてやればその子はくすぐったそうにして俺の手に小さな手を重ねてきた。
「アベル。我の名はアベル,無理やり,連れてきて…ごめん…なさ,い」
「連れてきて?」
「うん」
言っている意味がよくわからないんですが…。それに…,あれ?俺,生きてんのか?
俺の考えていることを察したのか,子供,アベルはこう言ってきた。
「ここは冬木市。ちかがいた世界と,似てる,けどちがう。
ここで我と一緒に,戦って,ちかは我のマスター。我は,ちかのサーヴァント」
「……へ?違う世界?…ますた―?さーばんとぉ?」
「ちが,うよ。サーヴァント」
「さ,サーヴァント?」
「うん!そうそう!」
あ―サーヴァントね!…ってちがぁあああああうッッ!!
「なぁ,アベル。ちゃんと詳しく説明って,ちょぉおぉお?!」
アベルはまた俺の手をとり全力失速。どこでそんな脚力身に付けてきたんだよ!!
「一体何処行くんだよぉおぉおぉおぉおぉお!!?」
俺の渾身の叫びは虚しくも夜の町に溶けていった。
**********
どの位走っ,否走らされた…。そう思っていたら急にアベルは止まった。
ある家の前で―――。
でかっ。
それが俺の率直な感想だった。だってよ,この家,屋敷?一言で言えば武家屋敷。
現代にまだこんな家あるんだ。
「アベルこれからどうするんだ?」
「サーヴァント2体,マスター2人…」
「へ?」
アベルはそう呟きまた凄まじい速さで家の中へって,え?
「おい!待てアベル!!」
アベルを掴もうとした手は虚しくも届かず,そのまま行ってしまった…。
クソっ!なんなんだよ!?
悪態をつきながら,俺も少し遅れてその武家屋敷に入っていった。
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