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Dream
第1話



6時限目の授業も終わり,クラスメイト達は各々部活へ行ったり,帰宅しようとしていた。ちなみに俺は部活に入ってない。まぁ入ってたは入ってたんだけど…。だからこのまま学校に残っていても,特にやることもない。俺はいつもの様に帰りの準備を始めた。



「ちかっ!!!」


そんな俺は急に背後から馬鹿でかい声で名前を呼ばれた。

「なんだよ,塚苗。デカい声だして」

後ろを振り返れば人懐っこい笑みを浮かべた同級生,クラスメイトの塚苗直也がいた。サッカー部のエースでクラスではムードメーカー的存在。

「なぁ,今日はめっっずらしく部活ねーんだ!。だからさ帰りにゲーセンとかカラオケ行かないかってコトになってさ!」

そう言って,教室の後ろで待っている数名の男子を塚苗は指差した。


「あー。別にいい,ーーーーあ」


「どした智香?」


「わり,やぱ無理だ。放課後,やることあんだ」


そうだ。すっかり忘れてた,今日昼休みに職員室に呼ばれ,何だと思って行ってみれば放課後資料室の整理つう面倒事を押し付けられたんだ。


「そーいや,智香。昼休みに小田っちに呼ばれてたもんな」


そう,小田っちこと小田原は倫理担当教師。
そして俺はその倫理係りつうのをしている。
この係りをしているせいで面倒事を頼まれるのは最早日常茶飯事化してきてしまっているから,泣けてくる…。


「そーいうことならしょうがないか。んー,タイミング悪い時誘っちまったな」

ごめん,と何故か塚苗は申し訳なさそうに謝ってきた。

「バーカ。何お前が謝ってんだよ。それより早く行ってやれよ」

「智香…。ホント悪い!,じゃ,オレ行くな」

今度は遊びいこーな!!!と,手をブンブン振りながらそう言い残し,塚苗は待っていたダチらと教室を出て行った。


まったく,塚苗はいちいち大袈裟だ。あんな一生の別れじゃあるまいし。ああいう素直で人懐っこいから周りに人がたえないんだろうな。
「さて,俺もそろそろ行くか」

塚苗が行ったのを見送ってから,俺も教室をあとにし,資料室へ向かった。


さっさと終わらせて帰るか。






**********



「失礼しました」

ガラガラと職員室のドアを閉める。
資料室の整理…というなの掃除が終わり,今さっき小田原に報告をして


きたわけだ。

「思ったより時間かかったな」
時計を確認すれば時刻は7時ちょいすぎ。
案の定窓の外を見てみればもう日はすっかり沈んでいた。


「さっさと帰ろ」



俺はすでに電気を消された暗い廊下を小走りで玄関を目指した。

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あきゅろす。
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