□小説(ダーク系)@ 2P 「わぁーこれ君の家!」 僕は正直に関心する。 「そうよ。 そんなに驚かないでよ、だた大きいだけで中はそんなにたいしたことはないのよ」 彼女は僕を家の中に招いた。 「澄人(すみと)お兄ちゃん、久澄(ひさずみ)。 ただいま」 僕はゴクリと喉を鳴らす。 「…やぁ、君が麻耶(まや)の彼氏かい?」 僕の目の前に、着物姿の端正な顔の男性が現れた。 「お兄ちゃんこちらが、私の彼氏の野沢 礼司(のざわ れいじ)くん」 「はっ初めまして、野沢 礼司と申します」 「初めまして、麻耶の兄の里中 澄人(さとなか すみと)です」 彼女のお兄さんは想像していたのと、全くイメージが違い、僕は内心ホッとした。 物腰が柔らかくとても優しい瞳で、僕に笑いかけてきてくれたからだ。 (じゃあ、問題は弟のほうか?) 僕は身構える。 「いらっしゃーい♪」 「こら久澄!お客さんの前でしょ、礼儀正しくしなさい」 「はーい、へぇーこちらが姉さんの彼氏? 優しそうでいいじゃん。 俺、麻耶の弟の久澄です宜しく♪」 僕はあっけにとられた。 (なんだ、二人共いい感じじゃないか…) 広い玄関から長い廊下を歩きながら僕は、あちこちにある高級そうなインテリアに驚く。 「麻耶、君の家ってお金持ちだったんだね」 「そんなことないわよ、お兄さんが趣味で集めたガラクタよ」 彼女は興味もなく言った。 「どうぞ」 通された部屋は、これまた何畳あるのかわからないような広い部屋で、中央に置かれたテーブルや座布団は、TVしか見たことのない高級旅館に置いてあるようなものだった。 「…麻耶、君の家って何をやってるんだ?」 隣に座る麻耶に、僕は小さい声で尋ねる。 「お兄さんが華道の師範なのよ」 「へぇーお花の先生か…」 あまりよく知らない世界の為僕は、小学生のような返事をしてしまった。 それを聞いていた彼女のお兄さんが笑う。 「そうです、お花の先生でね」 僕は真っ赤になった。 「麻耶、お前が連れてきた彼氏の中で、一番いい彼氏だな」 「うん、俺も思うよ。 まだ初対面に近いけどさ、第一印象バッチし!」 「まぁ、珍しい二人共に気に入られて、良かったね礼司」 「うっうん」 僕は一人まだ顔を赤くしてうつむき加減に返事をした。 場はそのまま穏やかな空気のまま時間だけが静かに過ぎた。 「そろそろ、失礼します。 今日は本当にありがとうございました」 僕は二人に頭を下げ 立ち上がろうとした 「…君になら麻耶をあげてもいいな」 僕は突然の言葉に我が耳を疑う 「えっ…今なんて…」 僕は彼女のお兄さんの顔を見つめる。 しばらくの沈黙のあと彼女のお兄さんは、薄く笑みを浮かべ 「…ふふ、なんでもないよ」 と首を振りながら、僕に向かって言った。 その言葉に僕は、今はこれ以上聞くべきではないと思い、彼女の家を後にしたのだった [前へ][次へ] [戻る] |