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□小説(ダーク系)@
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今回はSFファンタジー?ものです。
つっこみどころ満載かと思いますが、そこはSFでファンタジーなのでなんでもあり!ということでご容赦を
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数百年の昔
森の奥深くには、人でありながら狼の姿にもなれる一族が住んでいた。
いくつもの村に別れ、それぞれに生活をしていたが、ある一つの村で事件が起こった。


「…お前、お前がやったのか灯(あかり)」
髪も肌も白く、瞳だけが琥珀色に光る一族の忌者(いみもの)。
地下の牢に閉じ込められ、一生をそこで終わらせる者。
そして、俺の『弟』である者。

「そうです兄者。
村にいる一族はすべて私が滅しました。
あとは貴方だけ」
「そうか…」
「理由は聞かないのですか?」
「理由?そんなことは聞かなくともわかる」
清流(せいりゅう)は背を曲げ戦闘態勢に入る。
「強いものが生き残る。それだけだ」
灯(あかり)もゆっくりと背を曲げた。
次の瞬間、二人の影は獣の姿へと変貌し、お互いを睨みつけた。
片方は全身が銀色に近い灰色で青い瞳の狼、もう片方は全身が真っ白で琥珀色の瞳の狼。
「どちらかの息の根がとまるまでだ…」
その言葉を合図に、二匹の狼は牙をむいた。



「殺せ。お前の勝ちだ…」
ピクリとも動けず、浅い呼吸をしながら清流は言った。
そんな清流を見つめながら灯は口を開いた。
「――兄者、こんな言い伝えを聞いたことはございませんか?
忌者の雄(男)は同じ雄(男)と100度契りを交わすと『子をなすことができる』と」
「…ばかな、そんな言い伝え……など、嘘にきまって…いる」
清流は灯の意図を読み取り、額に皺を寄せた。
「気が付かなかったと、おおもいですか」
灯は口角を上げてニヤリと笑う。

「兄者も『忌者』ということに」

清流の瞼がピクリと動く。
「違う、俺…は『忌者』などではない」
「違う?でしたらその瞳の色はどういうことですか?
わが一族にそのような瞳の色のものはいない」

「…早く、俺を殺せ、灯」
清流は傷ついた手を必死に動かし、自分の目を隠した。
「やはり自覚はあったようですね。
兄者が皆に、隠していたことはわかります。
皆に知れれば、私と同じように『忌者』と呼ばれ、蔑まれ、地下に閉じ込められて一生をそこで終えることになる」
「殺せ!灯」
「冗談じゃない。殺しはしませんよ兄者。
貴方だけを、ラクにしてやるものですか」
灯は傷つき動けない清流の体に、懐から出した竹筒の中の液体をかけた。
「母から学んだ、傷によく効く薬です。
元々我々は回復力が強い。
兄者にはこれから、生きて私に抱かれ、そして子をなしてもらいます。
言い伝えが本当であれば生まれてくる子は……」
灯は恍惚した表情で空を仰いだ。
「私のように、そして兄者のように忌み嫌われる者になるでしょう。
姿は醜くそして強く、冷淡で残虐なすべてのものを恐怖によって治めるそんな化け物に」
「…ばかな…こと…を」
清流は薄れゆく意識の中、このまま目が覚めないことを願った。

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あきゅろす。
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