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□小説(ダーク系)@
2P
「この日を楽しみにしていたぞ」
大きな天蓋のベッドにたわったハーシムはベールをかぶった周二を手招いた。
《早く!…ハーシム様がお呼びです、早く行きなさい》
アリーは微動だにしない周二に、小さく耳打ちをして腕を取り、ハーシムが横たわるベッドへいざなった。

(怖い…)

周二には、恐怖しかなかった。
アレは、調教という名の拷問だった。
衣服は剥ぎ取られ、捨てられ両手首、両足首、そして首にまでもハーシムの奴隷としての刺青を入れられた。
棘(イバラ)が絡みつくような柄は、まさに奴隷として逃げられない証のようにも見える。

「こちらへ、ここに座れ」
ハーシムは周二の腕を引き、ベッドへのせるとベールをはぎ取った。
首にアクセサリーをつけただけの全裸の周二は、羞恥で体を丸めたが、それを楽しむようにハーシムは周二の体をまさぐった。
「日本人は黄色人種をいわれるようだからか、確かに白人と比べれば黄色にもみえるが、温かみのある色だ。
肌は…ほぉ、しっとりとして手触りがいいな。
ここも、可愛らしいものだ」
ハーシムにペニスを触られ、周二の体はビクリと震えた。
刺青を入れられたあと、首から下の毛という毛は綺麗に剃り落とされた。
衛生上の問題とも言われたが、まるで小さな子供のようで、みっともなく周二はいたたまれなかった。
「さぁ、オレを楽しませてくれ」
ハーシムが手を広げると、アリーが慌てて周二を叩いた。
「さあ、教えたことをやって。
ハーシム様に満足してもらいなさい」
周二はチラリとアリーに視線を送った。

(今すぐにでもここから逃げたい。
でも逃げたらどうなる……。
おそらく俺は、アリー共々殺される)
周二は大きく息を吐くと、四つんばいになり、アリーから手渡されたオイルを手にたっぷりとつけ、自分の双丘へとつけた。
「ご、ご主人様。
今宵は貴方様のすばらしい子種をわ、私に注いで下さい」
調教という名の拷問で、覚えこまされたセリフと、自分の秘部をほぐすように指を動かしながら周二は涙がでそうになった。
(俺、こんな所でなんでこんな事しなくちゃいけないんだよ。
ほんの数週間前は、日本にいて両親、兄貴、彼女や友達もいて、平凡だったけど毎日楽しくて……)
「おい、オレの方の準備はまだか?
辛い目にあうのはお前だぞ」
周二はふんぞり返ったハーシムの股間の布をソっと開いたが、中から現れたものに目を見張った。

(でかい!!)
ハーシムのソレは想像以上だった。
(欧米人とか、黒人とかサイズが半端ないって聞いたことがあるけど……まじありえない!
こんなのブチこまれたら俺は確実に死ぬ!)
硬直した周二を見て、ハーシムは鼻で笑うと、周二の頭を自分の股間へ押付けた。
「ほら、ご主人様の大事なものだ。
気持ちを込めてしゃぶれ」
「うっ…うう」
「なんだ?うめいてばかりでは、オレは全然気持ちよくならないではないか。
役に立たない舌は切ってしまおうか?」
ハーシムは冷たく言い放った。


「…んっ、いいぞ。口も舌も小さいがなかなかいい」
ペチャペチャと音をたてながら、周二は必死にハーシムのペニスをしゃぶっていた。
(あごが痛い…口の中も気持ち悪い。まだいかないのか?)
上目遣いでハーシムの様子を伺いながら、周二はフェラだけでイって、満足してくれないだろうかと小さな望みを持っていたが
「まぁ、初めてはこんなものだろう。尻をこちらに向けろ」
というハーシムの言葉に、体全体が心臓にでもなったように脈打つのを止められなかった。
「ははは、そう緊張するな。すぐによくなる」
ハーシムのペニスが周二の秘部へ押し当てられた。

「いっ!……」
あまりの圧迫と痛みに周二の息が止まる。
「息を止めるな、体の力を抜いて呼吸しろ」
(そ…なんこと…言われて…も…無理だ)
周二はベッドのシーツを握り締め、金魚のように口をパクパクとさせる。
調教時に、何度も押さえ込まれ無理やり道具を挿入されたが、主人の楽しみをとっておくために、わざと細身のものを使用されていたらしい。
「やっと見つけたジャミルの代わりにすぐ死んでもらっては困るが、ジャミル代わりを務められなければ意味がない。
仕方がない今日だけだぞ」
ハーシムの手が周二のペニスに伸びた。
「あっ……やっ…だ…め…」
「気持ちいいだろう、このオレがこんなことしてやるなんてないことだ。
光栄に思うがいい」
ハーシムの巧みな手によって扱かれたペニスの快感に周二の口から甘い声があがる。
「やっ…やぁっ……あんっ」
「体の緊張がほぐれてきたな…」
ペロリとハーシムは舌で自分の唇を舐めた。

「!!……あっああっ…はっ…はぁ…」
ペニスをズブリと根元までおさめられ、周二の秘部はミチミチと悲鳴をあげた。
「ほら、全部はいったぞ。
ここからが本番だ。明日は腰がたたないと思え」
周二の悲鳴と嬌声は一晩中続いた。


「なんとか、ハーシム様にお気に召してもらった。
よかった。
これからもしっかりお相手をするんだぞ」
アリーはぐったりとベッドに横たわる周二に声を掛けた。
「死にたい…」
周二が口にするとアリーは表情を変える。
「冗談じゃない。死なせない。
どうしてもと言うのなら脳をいじって死なないように、生きているだけの状態にされるぞ。
ハーシム様はそれほど、ジャミルが死んだことがショックだったんだ」
「ジャミルって人…死んだんだ」
アリーは複雑な表情で話しはじめた。
「ジャミルはもともとから奴隷だった。
ただ、容姿が美しく優しい少年でハーシム様に見初められた。
2年ほどはよかったが、3年目に入った頃…」

◇◇◇
『ジャミル…なぜ泣く』
『故郷にいる両親、兄弟のことを思い出してしまって』
ジャミルは窓際に立ち、夜空に浮かぶ月を見つめた。
『…故郷に帰りたいのか?』
『やさしい両親でしたし、兄弟も仲がよくて、何か祝いがあれば親戚中で集まってにぎやかで楽しくて』
『オレといるより、家族といるほうがいいのか』
『ご主人様と家族とでは、一緒にいる意味が違いますから比較はできません』
『……お前がいるところはオレのところだけだ。
家族よりもオレのことを思え』
ハーシムはジャミルを抱きしめ、夜空にうかぶ月をにらみつけた。
◇◇◇

「それからどうなったんだ」

「ハーシム様はジャミルの両親、兄弟、親戚にいたるまで……
裏で手をまわして殺害した」

「ど、どうして…」
「ジャミルのとっての1番が自分でありたかったのと、ジャミルが両親や兄弟を慕い逃げ帰ってしまうことが怖かったんだと思う。
わたしたちの想像も入っているから、どこまで真実かはわからないが」
「それでジャミルは死んだのか?」
「ああ、ハーシム様に家族すべてがいなくなったことを聞かされたあと……庭の池に身をなげた。
ハーシム様はうわべでは冷静を装ってはいたが、内心は苦しいほどの悲しみを味わっておられたに違いない」

(じゃあ、俺の両親も、兄弟も…いずれ殺される?)

周二はえもいわれぬ不安な気持ちでその日をすごした。


「お前の家族を殺しはしない」
ハーシムのその言葉を聞き出すまで、周二は生きたここちがしなかった。
「オレは一度…失敗をしている。
二度と同じ思いはしたくない」
ハーシムは周二の腰を引き寄せ、ガンガンと突き上げた。
「あっ……あんっ……ああっ…ご主人…様…」
周二は、少しづつではあるが慣れてきた行為に対して、主人であるハーシムに合わせることを学んだ。
「いい子だ。100パーセントジャミルと同じというわけにはいかないが…たまにお前がジャミルと重なってみえることがある」
「んっ…はぁっ…んんっジャミル…さんと俺はそんなに…あっ…似ているんですか」
「ああ、人種が違うから器は違うかもしれんが、パーツがよく似ている」
ハーシムは周二をベッドに仰向けに押し倒すと、おおいかぶさるように周二の首筋にキスをした。
「ジャミルに比べれば彫が浅いが、目元や眉、鼻、唇の形や配置、雰囲気がよく似ている。
――そういえば、お前の名前を呼んだことがなかったなシュージ」
日本語の発音とは少し違う呼び方に、周二はとまどう。
(俺の名前じゃないみたいだ…それに俺は日本に、再び日本に帰れるのだろうか)
周二は揺れる天蓋の布をじっと見つめ続けた。

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