□小説(ダーク系)@ 6P 「お前達が少しでも失礼なことをしたらこの店も俺達も明日がなくなるんだ! 作法が身につかなければ、お客様の相手をする前に命がなくなると思え!」 男は鼻の頭に皺をよせ、人間のものとは思えない悪魔のような表情で僕達を睨みながら怒鳴りつけた。 「返事がないぞ!殺されたいのかっ!」 『はっはい…』 僕達は恐れおののきながら怯えた声で返事をした。 「よし、取りあえずお前達には奉仕の言葉と喘ぎ声以外の言葉はいらん。 テクニックをこの一週間で磨け」 それから僕達は奉仕する言葉と喘ぎ声だけをあげることを許され、一週間かけてみっちりと仕込まれた。 ただ最後の一日だけは大事なお客様に酷い状態の肌を晒すわけにもいかない為、柔らかなベットでゆっくりと眠らせてもらい、さらにいい香りのするオイルを体に塗りつけマッサージまで施された。 そしていよいよお客様を迎える日がやってきた。 「いらっしゃいませ」 仰々しく頭を下げる店主や従業員達を僕達は檻越しに見る。 従業員達の隙間からチラチラを見える人物に、僕達はこれから先の恐怖を覚え檻を持つ手が震えた。 (あの人達に僕は…僕達は……) 生かすも殺すも今日のお客様次第。 しかし今日生き残っても、明日殺されるかも知れない……。 そんな絶望に胸が押しつぶされそうになったそんな時 「…また会えたな」 僕の前に男が立ち、僕をしっかりと見つめていた。 「…おっお客…様……!?」 豪華な服に身を包み。 輝くような宝石を身に着けた男は、以前僕を身受けしてくれようとしたお客様だった。 「なんて顔をしてるんだ…まあそうだな、あの頃の俺の様子じゃ、今のこの姿は想像できないのも無理ないか」 男は笑いながら頭をかいた。 「あの時も言っただろ?思わぬ金が入ったってな。 もともと貴族の端くれだったんだが、遠縁にあたるかなりの貴族がはやり病でバタバタ亡くなったらしく、このままでは血が途絶えるということで、なぜだか俺に次期当主の座がまわってきたんだ」 僕は目の前で優しそうに笑いながら話す男の言葉をじっと聞いていた。 この再会が何なのか、僕には想像も出来なかったからだ。 「それでだな、この町で接待を受けることになったんだが。 お前のことを思い出して賭けてみたんだよ」 「賭け?」 [前へ][次へ] [戻る] |