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□小説(ダーク系)@
7P
「…よかった刑事さんまだ生きてた」

「生きてたってどういう意味なんだ」

亮二はゆっくりと、まるで重い荷物が足にくくりつけられているような足取りで三浦に近づいた。

「あっ…その大丈夫かい?」

三浦は近づいてきた亮二の姿に視線を送らないようにした。
それは今の三浦にとって官能的すぎたからだ。

「大丈夫…だよ。慣れてるから…」

亮二は目を伏せてこたえた。

「ところでさっきの生きてたって…」

自分のズボンの前を、亮二に直されながら三浦は話題を振る。
そうでもしなければ先ほどまでの快楽を思い出しそうになったからだ。

「あいつ、池田は蜘蛛なんだ」

「くも?くもって空に浮かぶ?」

「違う、昆虫のだよ。
糸を出して網をはって獲物を静かに待って、一旦獲物がかかれば決して逃がさない蜘蛛のことだよ。
池田はそんな奴なんだ」

亮二は三浦の顔を正面から真剣な顔で見つめた。

「それにあいつは……あいつは冷酷な人殺しなんだ。
自分の叔父さんや他の奴ら……皆殺された。
池田にとって人を殺すことなんて何てこともないんだ…」

(人殺し…)

三浦は眉をしかめる

「人殺しは犯罪だ。
その話しが本当なら彼を逮捕しないといけない」

「本当だよ…叔父さんの場合はある程度池田にも同情する余地はあるかもしれないけど。
他の奴らは……
俺は池田が怖いんだ…刑事さん俺を助けて」

亮二は三浦の足に手を置いた。
その手は細かく震えていた。
三浦はそんな亮二ではなく、背後の部屋の隅を見つめ、そしてしばらくしてから口を開いた。

「もしかして叔父さんってのは、足の膝から下がなんらかの理由でない人だろ。
それに他の奴らってのは暴走族風の若い連中じゃないか?」

三浦のその言葉に亮二はガバっと顔を上げ驚きの表情をつくった。

「どっどうしてそれを…」

「…見えるんだよ。私にはね
もっとも見えるだけで、どうもしてやれないけど」

「見えるって…それは…」

亮二は、三浦が自分の背後へ視線を送っているのを見て思わず振り返ったが、そこはただの空間にしか見えなかった。

「信じないかもしれないけど、私は霊感ってのが昔から強くて、ここへ聞き込みにきたときにそれが見えて
しまってね。
気になって来たんだ。
まさかこんな事になるなんて…」

「まだ希望はあります!
俺はあいつから逃げたい!
お願い刑事さん協力してここからでよう」

亮二は三浦の足に置いた手の震えを押さえて力強く言った。

「…わかった私も協力する。
その前に彼が犯した罪を私に教えてくれるかい」

「はい…」

亮二はうなづき話し始めた。





「ーそうか、彼が叔父さんを殺したのは確かに君の言う通り多少は同情の余地があるが……。
――もう一つの若者達は、どういった状況でだい?」

「あれは…一ヶ月ほど前…」




「なんだか外が五月蝿いね…」

食事中だった池田は、その手を止めて立ち上がった。



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