□リクエスト小説@ 2P 「あっ!そういえば」 利通は床に放り投げた鞄を探る。 「あった!」 利通の手には、一本のビデオが握られていた。 今日学校でこっそり友人に借りたアダルトビデオだ。 「これでも見てるか。 雅一さんがいるときは見にくいからなへへへ」 ビデオテープがデッキに吸込まれると、露出度の高い下着をつけた胸の大きな女性が、男を誘っている場面から始まった。 『あん…あっあっいやっ…だめよ…』ビデオからながれる、艶かしい女性の嬌声が利通の性を刺激した。 「うっやべ…やりたくなっちまったよ。 …でも…他人の家で、しかもお世話になってるのに……でも居ないから、いいよな」 そっとジッパーを下ろし、利通は固くなり始めている自身を出し手で擦り愛撫する。 「んっ…あっ…」 玄関側のドアに背を向け、TVと自らの処理に夢中の利通は、背後から近づく人影に気がつかなかった。 「はぁ…んんっ…」 (なかなかいけないな。 やっぱ、他人の家だから落ち着かないのかな…) そう利通が思った時、利通の手の上に別の手が重なった。 ー!ー 「…ただいま、利通くん」 耳元で響く声に、利通の心臓がドクンと大きく脈打った。 「まっまっ雅一さん!どっどうして!」 「どうしてって、家で待ってる利通くんが寂しがってるんじゃないかと思って、早めに仕事を終わらせて帰ってきたんだよ」 「そっそうですか…あの…これは…その…」 雅一はクスリと笑う。l 「同じ男だからねわかるよ」 利通は恥ずかしさに頬を染めて俯いた。 しかし、いつまでも利通の手に重ねられている雅一の手に疑問を感じる。 「あの雅一さん…手をどけて…下さい」 「まだイってないんだろ。 僕がしてあげるよ。 他人にしてもらったほうが気持ちいいよ」 「えっ!ちょっ雅一さんいいよ。 いいってそんな…何言って」 利通は慌てて雅一から逃げ様としたが、後ろからしっかりと抱っこをされるようにして押さえつけられ、身動きが取れない。 「あっ…あっ雅一…さん…やめっ」 「ほら気持ちいいだろ、何度だってイっていいからね」 まだ女性経験もない利通は、他人にされる行為の刺激に体をぶるぶると震わせた。 「もう先走りの蜜が出てきたね。 感度がいいんだね利通くんは」 「んあっ…そんな…事言わない…で…やだよ…あっん」 雅一は腕の中で身悶える利通に、ゴクリと喉をならす。 (かっ可愛い。 このまま押し倒したいぐらいだ) 「ここがもっといいよ」 優しく愛撫を繰り返され、利通は短く荒い呼吸で快楽に酔う。 「ああー雅一…さん…。 気持ち…いいよ…もっと、もっとーあっ!」 欲情は外へと解放され、利通は体全体で大きなため息をついた。 「いっぱい出たね、たまってたんだ」 解放されたとたんに利通は、現実に引き戻され先ほどよりさらに顔を赤く染めた。 「…ごめんなさい…汚しちゃった」 「あっこれ?いいよ」 雅一は手についた白濁した液体をペロリと舐めた。 「わっ!雅一さん!きっ汚いって」 慌ててその手を利通は雅一の口元から離す。 「汚くはないよ、おいしいよ♪」 (おっおいしいって…まさか…) 利通の中に疑惑が湧き上がってきた。 (さっきの手馴れた様子といい、今の言動といいもしかして雅一さんって……ホ…モ?) バッと利通は雅一の腕の中から逃げた。 「どうかしたのかい?利通くん」 いつもと変わらない穏やかで優しい笑顔。 ――でもその笑顔の裏では俺のことを…。 利通の心臓がバクバクと音をたてる。 「まっ雅一さんってもしかして、その…男が…好きなんですか?」 瞬間、雅一はしまったという顔をした。 「やっぱり! ……俺、俺そういうのダメです。 だから普通で、普通だから女の子が好きで、その雅一さんのこと嫌いじゃないんだけど…その…男に恋愛対象にされるのは…」 あまりのショックで、自分が何を言っているのかもわからず、利通は一気にまくし立てると玄関から外へ走りでた。 ◇ 「これからどうしようかな」 さまざまなショップの立ち並ぶ通りは、その光(照明)で十分な華やかさを持っていただが、この明かりもしばらくすれば、徐々に少なくなり辺りは暗さをましてくるだろう。 「荷物もまだ置きっぱなしだし、どうやって取りに行こう」 飛び出してくる前に、チラリと視界に入った雅一の顔は寂しげだった。 「でもよく考えてみたら俺。 雅一さんに嫌な事を、一度もされたことないよな」 一人で不安だったあの時、知り合いでもない俺を家に入れてくれて面倒までみてくれて。 「それなのに酷いこと言って、俺最低な奴じゃないか?」 ――これからどうするかより、まず謝るのが先じゃないのか、利通は来た道を引き返した。 ◇ 「あっ…」 利通はマンションの前に立ち、心配そうに辺りをゆっくりと見回している雅一の姿を見つけた。 (雅一さん…) 利通の足が止まる、その足はなかなか進まない。 「利通くん!」 そんな利通に雅一が気がつき走りよってきた。 「よかった…心配してたんだ。 その……何もしないから、今日は戻ってきなさい。 明日から身の振り方を決めて、ちゃんとしてからの方がいい」 「……さん」 「あっごめんやっぱり嫌かな。 気持ち悪いよな。 僕と一晩でも一緒に居るのなんて……」 利通は大きく首を横に振った。 「違う。 俺あんなに親切にしてもらったのに、酷いこと言って。 それなのに心配してくれてごめんなさい…」 雅一は優しく利通の肩に手を置いた。 「いいんだよ当たり前のことだよ。 泣かなくてもいいから」 「俺、恋愛感情まではいかないけど、雅一さんのこと好きだよ本当のお兄さんみたいに」 「その言葉だけで充分だよ。 とにかく早く部屋に帰ろう」 利通は頬を伝う涙を手で拭くと、コクリと頷き雅一と共にマンションの中へと歩みを進めた。 その晩は、なんとなくぎこちなく過ごした利通と雅一だったが、しばらく二人で過ごしていくうちに、元の落ち着きを取り戻していった。 雅一は元気に登校する利通を見送り、ホッとため息をついた。 (まだ子供だ。 正直抱きたいって気持ちが全くなくなったわけではないけど、弟だと思って諦めよう。 今の利通くんには僕しかいない、それを利用して抱くなんてこと出来ないよな) ぬるくなったお茶を一気に喉に流しこみ、雅一も会社へ出勤する準備をはじめた。 ◇ 「今日は何つくろうかな♪」 夕方、利通は片手にスーパーの袋を持ち、ドアに鍵を差した。 「――おい、小僧お前この家のガキだろ」 あきらかにその筋の人間と思える男二人が、利通の肩に手を置いた。 「この家って……」 雅一の部屋の隣、利通の本当の部屋のドアを男は指差す。 「おらっ言えよ!親はどこ行きやがった! 金借りて返さねえー奴はな、泥棒と同じなんだよ!」 「しっ知らない…俺が帰ってきたら…居なかった…」 「嘘つくんじゃねーぞ!ぶっ殺されたいのか」 「ほっ本当に俺…しっ知らない…知らないんだよ」 利通はガタガタと震えた。 [前へ][次へ] [戻る] |