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□リクエスト小説@
2P
「やぁ、久しぶりだな薫ちゃん」

「てめえなんでこんなところに!」

「ひどいな俺達従兄弟なのに、冷たい言い方するなよ」

(薫ちゃん?従兄弟?)

俺はサングラスを外した男を、マジマジと見つめた。
確かによく見るとどことなく目元のあたりが、先輩と似ているような感じがした。

そして一番似ていたはかもしだす雰囲気だった

(こっ怖い…この人も先輩と同じタイプの人間だ…)

俺は敏感にそれを感じとった。

「しかし、他人の背広とサングラスだけで俺に気がつかないなんてな。
…そんなにその坊やに気をとられてたのか?
お前の執着心には恐ろしいものがあるな」

「黙れ!この!
早く出て行けよ!幸一は俺のものだ」

先輩は恐ろしい形相で男を睨んだ

「幸一っていうのか。
顔も声もいいし、いい体をしている。
だが、その刺青のセンスはなってない」

「見るな!
出て行け出て行かないと!」

先輩はポケットから折りたたみナイフを取り出し刃を男へ向けた

「わかった、わかったよ。
お邪魔虫は退散するよ、俺をそんなに毛嫌いするなよな全く」

男はくるりときびすを返して、部屋を出て行った

「…っそ気分が台無しじゃない。
…ごめんね幸一今日はここまでにして部屋に帰っててよ」

先輩は厳しい表情で俺を解放した。





「ああ、そいつは組長の兄の息子の竜二(りゅうじ)だ」

男は食事をする俺の隣で、タバコをふかしながら言った。

「組長の兄の息子って、お兄さんの息子なら先輩より偉いんだろ?」

「組長の兄貴は気が弱くてな跡継ぎの器じゃなかった。
だから今の組長が組をつぎ、後継者は今のぼっちゃんになった。
―けどなあの竜二はなかなか切れ者で、ぼっちゃんを後継者から引き摺り下ろそうと何かとちょっかいをだしてきているのさ」

「でもちょっかいしてるのがわかれば、それはまずいんじゃないの?」

「そこをわかんねーようにしてやがるんだよ
とにかく頭がいい奴なんだよ、あいつは」

男は微妙な顔つきで続けて言った。

「まぁ、どちらかと言えば竜二の奴の方が、組長に向いているかもな。
ただあいつが組長になれば、今のオレ達の立場も変わってくる面倒だな…」

「…」

俺にとってもそれは関わりあることだった。
このまま先輩に、監禁され続けていればその紛争に巻き込まれるかもしれない。
そして竜二という人が組長になれば、俺は解放されるかもしれないが、先輩の愛人として殺されてしまうかもしれない…

「…絶対逃げてやる、ここからも先輩からも…」

俺は、男に聞こえないように呟いた。




今も俺の話相手になってくれるこの男は、前に先輩の怒りをかったものの先輩の父親にかなり気に入られていたようで、命も指を落とすこともなく、今でも俺の所へ来ていた。
もっともあまり頻繁だとまた先輩の怒りをかいかねないということで、たまにしか顔をみせないが、俺にとってはこの屋敷で唯一心をゆるせる人物になっていた。

「そろそろ行くぜ。
お前も、あのぼっちゃんの相手は大変だろが頑張れや」

男は俺が食べ終わった食器をまとめて手に持つと、部屋から出て行った。

最後に鍵をしっかりとかけて…。

(まずはあの鍵をなんとかして…)

俺は薄暗い部屋で逃亡の計画をたてはじめていた。






「幸一…痛い?」

「…」

痛いに決まってる俺はその問いにこたえず顔をしかめた。

先輩のサド気質は相変わらずで、俺の体には生傷は絶えることはない。
俺の体に残るうっすらと赤い筋を先輩は舌でなぞった。

「…っ…」

「痛いよね。
でもこうすると幸一のアソコがキューと締まって、たまらないじゃない。
もっとも幸一のアソコは元々締まりがよくて最高だけどね」

「ひっ!」

シュっと空気を切る音がすると、四つん這いになった俺の背中に真新しい赤い筋がつく。

「んっ…本当に最高…」

先輩は恍惚の表情で、俺の背中を再び打ちつけた。

「っ…痛っ…」

痛みの為に、俺の全身からは冷や汗が滲み出てくる。
チラリと自分の肩ごしから、先輩の手に握られる短い鞭のようなしなやかな棒を見て、俺は歯を食いしばった。

(あと何発打たれれば解放されるんだよ。
鞭なんて道具を、誰が考えやがったんだ)

さらに痛みに耐える俺の蕾には、先輩のペニスが根元までしっかりとおさまり、一向に俺を解放してくれそうになどなかった。

「はっあっ…んっ薫…さん…もう…お願…い」

無駄だとわかっていても、口からは懇願の言葉がでてくる。


「痛いのが好きなくせに。
幸一はいつも反対の言葉ばかり言ってだめじゃない」

また一振り背中に打ち込まれて、俺は歯を食いしばった。




「…早く、早く逃げないと…」

背中には今だに焼け付くような痛みが残っており、俺は身動きすることも出来ず、ベッドの上でうつ伏せのままブツブツと呟いていた。 



「―入るぜ」

カチャカチャと鍵を開ける音と共に、男が一人入ってきた。

「いつもの……じゃないな」

俺は見慣れない男を警戒した。

俺に食事を運んできたり、手当てをしに何人かがここへ来るが、顔ぶれは決まってる。
それに新顔の場合は、まず先輩が俺に顔あわせをさせてからお互いに手を出さないように念押しをさせる。

(俺がこいつらを誘うなんてことは絶対ありえない話だが、先輩はかなり用心しているようだった)

「…ここから逃げたいんだろ坊主」

「えっ…」

俺は耳を疑う。

(今こいつ何って言った…)

「聞こえなかったのか。
『ここから逃げたいか』って聞いたんだよ」

男は俺が何よりも望む言葉を、はっきりと口にした。

「何を言って…」

俺はそれでも信じられず、疑惑の眼差しで男を見た。

「そう警戒するな。
ここには盗聴器までは仕掛けてないようだ。
安心して本心を言えばいい」

「―逃げたい!
俺はここから、あの先輩から逃げたい…」

俺は叫ぶように言った。

「ならオレの言うとおりに行動しろ
…決行は3日後だ」

俺は男が去ったあともしばらく、今の会話が現実だったのかと扉を見つめ続けてた。

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