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□リクエスト小説@
8P

「あっ!あうっ…くっ…はぁっ…」

全身を棘のついた針金で締め付けられているような痛みに、アンジェは床の上でのたうちまわっていた。
側で見るものにはその姿が、まるで娼婦がベッドの上で淫らに乱れるようにも見えた。

「これはこれはどうして。サド心を揺さぶられる光景ではないですか。
しばらく観賞でもしていましょうか?」

「これで正体を現さないとなると、この姿は本来そのものの姿のようだな。
ベトールそれぐらいでいいだろう、やめてやれ」

「わかりました」

ピンっとベトールが指を弾くように動かすとアンジェはぐったりとその場にうずくまった。

「悪魔というものは、醜いものばかりだと思っていたが、これなら……悪くない」

ハギトはぐったりするアンジェを仰向けにしてそのアゴを掴むとアンジェの顔をマジマジと見た。

「……るな、汚い手で俺に、触る…な。この上っ面だけお綺麗な中身がヘドロの…最低…野郎」

「あはははっ。これはいい。
ハギトに向かってその口のききようは、さすが悪魔なだけある。
口だけは塞いだほうがいいかもしれま……!」

「このっ、悪魔風情が……!」

側でケラケラと笑っていたベトールと、今まさにアンジェの頬を叩こうとしたハギトは、薄く開いていくアンジェの瞳に釘付けになった。
その瞳の色は天界の貴族が好む、極上のワイン色。
さらにはワイングラスの中でワインが揺れるように潤んだ瞳は、気高い香りと淫らな欲情を匂わせるようだった。

「……これは……た、大したもんだ。」

(この私の心をこれほどまでに揺れ動かすとは)

ハギトは自分を見つめるアンジェの瞳の美しさから目を離せない自分に気がつき頭を強く横に振った。




「何をしている。早く始末をしないか」

「あの秩序を乱す、ろくでもない男の飼っている悪魔だぞ!早く殺してしまえ」

呆然と立つ二人の背後から、また別の声が聞こえてきた。













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