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□リクエスト小説@
6P
「なにグチャグチャ言ってやがる。
あいつはいないし、うざいから早く帰れよ」

「そうはいかない。
私はお前を連れて行く為にきたのだ。
こい悪魔」

セイラムの手が空を掴むようにして握られると、アンジェの体がまるで巨人の手で握られたかのように、締まった。

「なっ!!
苦しい…離せ…離しやがれ…この野郎…」

「悪魔のくせに魔力もないのか?
抵抗したければすればいいものを」

(したくたって、あの野郎、ヴィルの野郎に魔力を封じられてるんだ。
くそ…魔力さえあればこんな簡単に捕まったりしねーのに)

「うるせーっ!抵抗できるぐらいならとっくに…」

しまったと思ったが、後の祭りだった。
セイラムは口の端を少し上げて笑いながら言った。

「なるほど、狡猾なヴィルらしいな。
魔力を封じられていては、抵抗も出来ないということか」

セイラムの腕の動きに合わせてアンジェの体はセイラムの方へ引き寄せられていった。

「アンジェさんを離せ!!」

―!―

「ギャッ」

カラン…再び床の上に高い音を響かせて雄牛の角が一本転がった。

「まだいたのか。
そうか雄牛の角は2本あるからな…
ヴィルへの見せしめだ、2本とも粉々に砕いてやろう」



―!―

「待てよ!
そんな角を砕く暇があるなら、俺はその隙にお前から逃げてみせるぜ」

アンジェはニヤリと笑った。

(気にくわねーガキ共だが、無抵抗のまま砕かれるを見るのも、しのびないからな)

「悪魔のくせに、同情か?
それともこいつらに情でも感じたのか」

「違うね、俺はいきなり現れて傍若無人に振舞う礼儀もなっていない最低な奴が気に入らねーだけ…。
くぅっ!」

アンジェは見えない大きな手に体を締め付けられて、意識が遠のいていくのを感じた。













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