□リクエスト小説@
4P
「私を誰だと思っているのだ。
中級三隊の主天使ドミニオンズのセイラムだぞ。
私に逆らうは、主天使ドミニオンズに逆らうと同じことになるのだぞ」
ルゥは体を強張らせた。
主天使ドミニオンズといえば天界の統治と支配の中心であり、主天使ドミニオンズに逆らえば天界を追われ、二度と天界へは戻れないといわれていた。
「で、ですが、主天使ドミニオンズのお方といえど何もしていない天使の家に、勝手に入るなど許されることではないはずです」
「何もしていない?
風紀を乱し淫乱で冷酷な堕天使となった者が、何もしていないと申すか」
「それは…。
ですが、ヴィル様は天使の輪を剥奪される罰を受けております。
それ以上の罪は犯してなどいないはずです」
セイラムは、ルゥを探るような目で見つめ口元を歪めて言った。
「――ヴィルはこの家で、悪魔を飼っているらしいな」
「…」
「悪魔を飼うことは、上流階級の天使のみが許されているはずだ。
さらに言うならば、堕天使であるヴィルが、悪魔と手を結んでさらなる悪行をしないとも限らない」
「…だったら、どうされるおつもりなのですか?」
「その悪魔を我が主天使ドミニオンズに引き渡してもらおう。
むろんヴィルはまた更に重い罪を償う事になり、卑しく汚らわしい悪魔の命の保証はないがな」
瞬間、ルゥは、セイラムの体に抱きついて叫んだ。
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