□リクエスト小説@
2P
「あ―っ。
たるいぜ、ちっくしょ。
何が楽しくて勉強しないといけないんだよ。
今日もサッサッとずらかるとするか」
川名は机の上に両足を乗せ、つまらなそうに窓の外を眺めながら言った。
「川名くん、また授業を受けずに抜け出すの?」
クラスでもひと際目立つ美人の成瀬 岬(なるせ みさき)が川名に話し掛けてきた。
サバサバした明るい性格で、誰にでも気軽に声を掛ける岬は男子生徒からも女子生徒からも人気があった。
「んっ、ああ。
俺は皆で仲良く勉強するより、一人静かに勉強するのが好きだからな」
「へー、一人でね。
ところで、川名くんはどこにいることが多いの?」
岬は興味津々とばかりに目を輝かせた。
「んなもん、その日によって違うんだよ。
なんだよ、岬お前俺に気でもあるのかよ」
川名は隠し切れない嬉しさを表情に出して言った。
「まっさか!
いいじゃない、ちょっと興味があっただけよ」
「なーんだよ照れることねーだろ、正直に言えよ」
「本当に興味があるだけよ。
―そうね、これからの川名くん次第かもね」
意味ありげに笑みを浮かべた岬に、川名はつい笑顔で答えた。
「そうだな、屋上や体育館裏は結構人がいたりしてうざいから、図書館にいることが多いな」
「えーっ、図書館!似合わない―」
「似合わないとか言うなよな。
ああいう所が返って目につかなくていい昼寝…あっいや、いい勉強が出来るんだよ」
「なるほどね」
岬は腕を組んでコクリと頷くと、用件は済んだとばかりに自分の席に戻っていった。
(アレ?なんだよ。
それで終りかよ……
いや、クラスメイトの目もあるから、深く聞くのをやめたってことか)
川名は自分の席につき教科書を取り出し、机にのせる岬を口元を緩めながら見つめた。
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