□リクエスト小説@ 2P 「簡単になん十万!いい加減にしてくれよ。 金、金って親父は金持ちかもしれないが俺は違う! 親父の金なんてあてにしてないし頼る気もない。 まして俺はそんな事に興味はない!」 「またまた、そんなこと言っていい子ぶるのもそっちこそいい加減にしろよ。 子供が親のすねをかじるなんて当たり前だろ。 親には甘えるもんだぜ」 大沢は正宗が真面目に怒っているのをわかっていないのか、わかっているがわからないフリをしているのか軽くあしらった。 「おっ大沢!俺は真面目に…」 その時正宗の視界の端に小柄な少年が数人に取り囲まれ 怯えているのが映った。 「ああ、そう言えば確かお試しもOKだって事だから、誰か試してみるか?」 「お試し…それって合意なしに抱いてもいいってことか?」 「当たり前だろ。 合意なんて必要あるわけないだろ。 ほらあそこの奴結構顔も体もいけてるぜ。 試してみたらどうだ?」 正宗はあまりの驚きに言葉もでてこなかった。 「…やぁっ…めて…お願…許し…やだぁ…」 そんな正宗の耳に先ほど視界に入った小柄な少年のものと思えるか細い声が聞こえた。 「ほら見ろよ。 あっちで試してみるみたいだぜ、大人数でやったら壊れちまいそうなぐらい細いガキだな。 えっ?おっおい正宗っ」 どうしてだか自分でもわからないが、気がついたとき正宗は数人に取り囲まれたあの少年を庇うようにして立っていた。 「?なんだよ。 そいつは俺達が今味見しようとしてたんだぜ。 それを横取りする気か? 温厚な俺達だってマナーを守らないような奴は許せないぜ」 「……横取りする気は…ない…ただ…」 「ただ?なんだよ」 (ただ、こんなに怯える、か弱そうな少年を数人で…なんて見過ごせなかったから…) 正宗はそう続けようとして止めた。 ここはそんな理屈が通るような場所ではない。 それでついこんな言葉になってしまった 「…ただこの子が気に入ったんだ。 俺が買う!」 「正宗…お前…」 正宗の言葉に大沢の方があっけにとられてぽかんと口を開けた。 「ふーんこいつを買うのか…」 男達は意外にも殺気だつこともなく、正宗に少年を突き飛ばすような格好で渡した。 「ほらよ、やるよこいつ買うんだろ?」 「あっ…ああ…」 正宗はゆっくりと頷いてみせた。 そして自分の方へと突き飛ばされた少年の体をしっかりと抱きとめた。 ◇ 「えっと…その…」 正宗は自分の部屋にちょこんと座る少年を前に、どうしたものやら思案にくれていた。 その場の勢いで『買って』しまったとはいえ、ここではいさよならと放り出してしまうわけにもいかず、かれこれ30分はこの状態のままだった。 「あ…のご主人様…僕のこと嫌いですか?」 「ごっご主人様!!そっそんな呼び方頼むからしないでくれよ〜」 少年の真っ直ぐな瞳にたじろぎながらも正宗は頭を抱えた。 「僕はご主人様の所にしかいる場所がないんです! お願いします。 僕を捨てないで下ださい」 頭を抱えた正宗に少年は必死にしがみ付いてきた 「…わかったよ。 俺は今一人暮らしだし、もう一人くらい増えても問題はないから…とりえずここに居るといい」 少年の顔が輝いた。 「ありがとう!ご主人様大好き♪」 正宗は苦笑いをしながら頭をかいた。 [前へ][次へ] [戻る] |