[携帯モード] [URL送信]

□リクエスト小説@
5P
「そんな顔するな、アイツ薫の所じゃない」

俺は乗せられた車の中で、震えながら竜二を見た。

「先輩の所じゃないなら、どこに…」

「薫が探せない場所へさ、海外なんてどうだ。
二度と薫に捕まることはないぜ。
心配するな、ちゃんとしたいい買い手を見つけてやる」

「海外!!買い手?」

「そうだ、一度はこうやって逃がしてやっただろうが。
その礼をその身で払えばいいんだ」

竜二は俺の腰に手を回した。

「じゃっじゃあ、脱走を手伝ってくれたあの男は…」

「そうさ、俺が命令してお前の脱走を手伝わせたんだよ。
薫への嫌がらせでな。
しかし、ここまで執着しているとは思わなかった。
だからお前をもっと遠くへ逃がしてやる。
お前が海外に逃げれば、薫は追えないだろう。
それにお前も、もっといい奴に可愛がってもらえるんだから一石二鳥だろ」

竜二の手が、俺の腰から俺の両足の付け根へと移動する。

「日本人の若い男は高く売れるんだよ。
おまけにお前はここに、見事な刺青をしてるからな。
さらに値が上がるだろうよ」

俺は握り拳を強く握った。
竜二の手がズボンのボタンへとかかり、それを外しているとわかっていながら俺は抵抗しなかった。
いや、抵抗など出来る心境ではなかった。
自分のこれから先の運命の残酷さに、押しつぶされそうだった。

「売る前に……味見させろよ。
前に見たときの姿、堪らなかったぜ…幸一くん」

竜二の手が下着の上から、そして直接俺のペニスへと伸びた。


「…そこまでにしてもらおうか、竜二」

「なっ!お前!」

カチリと冷たい鉄の塊が竜二の額に押し当てられていた。

「…せっ先輩…」

「幸一、先輩じゃないでしょ。
何度も僕に言わせて悪い子だね」

先輩は目を細め俺に優しく微笑み掛ける。
だが俺はその笑みに、恐怖を感じずにはいられなかった。

「もう少し遊んでいてもよかったけど、こいつが出てきちゃったから、ごめんね幸一。
遊びはここまでにして帰ろうね」

「…薫…お前こんなこと俺にしていいと思って…」

竜二は額に押し付けられた鉄の塊を気にしながらも、先輩に毒づいた。

「黙れよ。
どっちが上なのか今ここで証明してみせようか?
懐のものを出して、僕を打ち抜く前にお前の体にいくつもの風穴が開くことになるぜ」

運転席からも銃口が、竜二に向かい向けられた。

「っくそぉ…」

「今は命は取らないでやるよ。
今後はどうかは、わからないからな」

先輩は感情のこもらない表情で竜二を見つめ、そして銃口を静かに下ろした。

[前へ][次へ]

5/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!