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□リクエスト小説@
2P
「ああ、今日から一週間7人の相手と勝負してお前が勝ち残ればお前を自由にしてやる」

久瀬は結果がわかっているかのような笑みを浮かべた。

(7人と勝負だと?
こいつ…俺が負けると決めつけてわざとこんなチャンスを与えたのか?
―くそっ俺はそんな簡単に負けたりなんてしない!
その笑いくつがえしてやる)

「わかった7人勝ち抜けばいいんだろ。
絶対勝ち抜いてやる」

「その意気だ。せいぜい頑張れよ」

そう言って久瀬は手を叩いた




「今日の相手だ…」

広めの部屋の中で円を描くようにして、久瀬の手下が小鳥遊と勝負の相手を取り囲んでいた。

久瀬はというと、どこから持ってきたのかここには不釣合いのアンティク調の重厚な椅子に座り冷めた目で小鳥遊達を見ている。
久瀬の視線が気にはなるが小鳥遊は目の前に立つ相手を観察することに専念した

(こいつが俺の相手…)

自分よりも頭一つほど背の高いが、ひょろりとした体型で腕力など無さそうに見える。
しかもその表情はどう見ても怯えているようにしか見えなかった



「勝負あったな…」

久瀬は低く言うとスッと椅子から立上り小鳥遊とその足元で呻く男に視線を送った。

「その足元にはいつくばっている野郎はもう用無しだ。
いつもの通り処分しておけ。
それからお前、なかなかやるなその調子で頑張れよ」

そんな久瀬の口調の中に
『いつでも負けていいぜ、お前は俺のものなんだから』
というような含みを感じ小鳥遊はゾっとした。

「ちょっちょと待てよ。処分て何をするんだ!
こいつもお前の女にするのかよ」

「バカかこんな貧相な野郎を女にするわけないだろう。
こういった野郎はな、手足くくりつけてゴミだめかドブ川に捨ててそれでおしまいなんだよ。
その後生き残るも死んじまうも運次第だ」

久瀬の何の感情もこもらない言葉に小鳥遊は押し黙った

(こいつ…マジで噂どおりの冷酷で残忍な悪魔だ。
俺、生きてここを無事に出られるのか…)

小鳥遊は襲いくる恐怖と不安に押しつぶされそうになった。



続く二日目、三日目の相手は初日のようにはいかず、何発かくらいようやく倒すことが出来た

「頑張るな。それよりあまり顔や体を傷つけるなよ。
俺の楽しみがなくなる」

勝負の後に久瀬から掛けられる言葉に小鳥遊はじわじわと追い詰められていた。

(何をびびってんだ同じ人間だぞ。
それにあいつが喧嘩しているところを一度もみていない。
あんがい口先だけで弱い奴かもしれない…)

そう思いつつ久瀬のかもし出す雰囲気に、強者の匂いを小鳥遊は感じとっていた。

(いや、タイマンでならもしかして……)

普通の体でここから出る。
それがいつしか小鳥遊の心を占めるようになっていた。

(こいつが今日の相手?)

小鳥遊は今までの相手とは全く正反対な、この場にまったくそぐわない相手に動揺した。

「たまにはいいだろこういう相手も」

相変わらず久瀬は中央に置かれた椅子にどっしりと座り、高みの見物とばかりに薄笑いを浮かべていた。


「…ひっ…あ…あの、僕は…喧嘩なんて、お願いです助けて下さい」

小鳥遊はいまにも倒れそうなか細い体に少女といった方がいいような風貌の相手に躊躇する。

「おい、何をやってる引き分けは負けと同じだ、早くはじめろ!」

不良といえど小鳥遊は抵抗できないような弱いものに手を出したことなどなかった。
それが小鳥遊のポリシーであり不良としてのプライドだった。

だか、今の状況ではそんなことをいってなどいられない

(悪いな…俺は絶対負けたくねぇーんだ。
軽く小突いてやるから勘弁しろよ)

小鳥遊は大きな目で上目使いに震えながら小鳥遊を見ていた相手の足を払い、地面に倒れたところを拳で腹に一発決める。

「うぐっ…」

大きな目をさらに見開いた相手は、すぐにまぶたを閉じ動かなくなった。

「…悪く思うなよ…」

小鳥遊は辛そうな表情で呟いた。

「勝負あったな…」

久瀬はあごで部下に何かを指示した。
するとすぐに四、五人の部下が倒れたまま、まだ目をさましていない小鳥遊の相手をぐるりと取り囲んだ。

「こいつはどうするつもりだ?」

聞きたくもあり聞きたくなかった質問を小鳥遊は久瀬に言った。

「なに、こいつは俺の女にするには軟弱すぎる。
だから初めから他の奴らにまわしただけだ」

久瀬は少し目を細めて表情を硬くした小鳥遊に話を続けた。

「よく、見ておけよ。
あれがお前の行く末になるんだ。
俺が初めに女にしたあと、部下にも貸し出すのがここでのルールだ。
あいつらは数人でいたぶるのが好きだからな。
お前もほら、ああやって可愛がってもらえるようになる…」

久瀬の言葉と小鳥遊の瞳に映る光景が重なる。
ぐったりとしていたはずの相手は、衣服を剥ぎ取られ数人に押さえつけられた上、前座もなくいきなり突き上げられたらしく絹を裂くような悲鳴を上げていたが、それも次第に弱弱しくなっていき最後には男達の動きにあわせて細い足だけがブラブラとゆれているような
状態になった。




「…れは、俺は絶対負けねー
お前の女にもやつらにもいいようになんてされてたまるか…」

小鳥遊は知らず知らず乾いた喉をゴクリと鳴らした。





「今日の相手に勝てば俺は自由だ」

小鳥遊は気合を入れるが

(もし久瀬のやつが約束をやぶったら…
あいつの部下が一斉に掴みかってきたら、逃げ切れるのか俺は)

小鳥遊の心は不安に揺れた。

「今日の相手は…俺だ」

予想はしていたものの、久瀬が椅子から立上り自分の方へ向かってくるのを見て小鳥遊は拳をつくる手をさらに強く握りしめた。

「そうか、てめえで最後ってわけだな。
やっ約束は守れよ!」

「わかってる。もちろんお前も負ければどうなるか覚悟は出来てるだろうな」

「…ああ…」

小鳥遊はうなづいた。

「じゃあ、はじめるか…」


シュッと拳が頬ギリギリをかすめていく、それをかわしながらこちらも拳をくりだしてみるが簡単にかわされ空で拳がむなしく止まる。

「くっそ…」

(一度も拳が当たらね―
こっちはギリギリでかわすのがやっとなのに、こいつは余裕でかわしやがる)

小鳥遊の息がだんだんとあがっていく

「息があがってきてるな。
拳をぶち込まれて痛い目にあう前に負けを認めたほうがいいじゃないのか?」

久瀬は上から見下ろすように小鳥遊を見る。

「―るさいっ俺は絶対自分から負けなんて認めねーからな」

そんな小鳥遊の言葉に目を細め、久瀬は笑った。

「お前は痛いのが好きらしいな」

「ぐっふっ!!」

次の瞬間小鳥遊は腹に強烈な一発をくらい、思わず膝を地面につきそうになった。
その上、喉元には胃から逆流してきたものがこみ上げてくる。

「…うっ…ううっ…」

「さっきの威勢のわりにはだらしがないな」

「…この…!」

小鳥遊はなんとか足を踏ん張り、勢いで拳をくりだしてみたが狙ったわけでもない拳は、久瀬に当たるはずもなく久瀬に手首を掴まれひねりあげられた。

「!…っ…いっ…はっ離せ!…!」

「細い手首だなこのまま骨ごとに握りつぶせそうだ」

「いぁっ…やめ…っ…離せよ…この…」

手首を恐ろしいほどの力で握られて小鳥遊は恐怖心にかられ必死に暴れた。

「無駄だ…」

冷酷な声と共に手首に激痛が走り、小鳥遊はとうとう地面に膝をついてしまった。

「安心しろ骨は砕いていないはずだ。
二、三日痛むぐらいだろう」


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