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□小説@
4P
「おはよう」

田之上が事務所のドアを開けると社員の皆が一斉に注目する。

「えっなっなんだよ皆」

「ああ、ごめんなさい。九条くんかと思って」

「九条がどうかしたのか?」

田之上は昨日のことや今のことで、不安を感じながらもおそるおそる聞いた。
事務所でも中堅にあたる女子社員がこそっと田之上に耳打ちしてくれた。

「…実は朝、出勤してきたら九条くんの机の上に……その…中傷ビラみたいなのが置いてあって…」

「中傷ビラ?」

「そう、その内容っていうのが……。
九条くんが男好きのホモで気持ち悪いとかいろいろ…」

ホモという言葉に田之上はドキッとする。
そしてさっきの九条の態度に田之上は気がつく…

まさか…あいつ、俺があのビラ書いたと思ってるんじゃ

(俺は書いてない……。
じゃあ誰かが昨日の会話を聞いていて?
九条は女子社員に人気がある。他の男性社員にしてみれば面白くないだろう…)

田之上は苦い気分でその日を過ごした。
そしてとんでもない災難が自分に降りかかるとは思ってもいなかった。

結局九条は3日無断欠勤をして。
そして、4日目に辞表を会社に送ってきた。



「田之上くん!」

田之上が社長に呼ばれたのは九条が辞表を送ってきた次の日だった。

「はい、社長何か?」

「…悪いが今夜大事な接待があるんだが、君に同伴してして欲しい」

なぜだか社長の目は断るなという無言の威圧感をだしていた。

「はい、わかりました」

「では、今夜8時にKホテルのロビーで待ち合わせしよう」

「はい」

また、つまらない先方の自慢話を聞いたり、ゴマすり、おだてを考えて田之上はこっそりため息を漏らす……。
これだから平社員はつらいよな。

Kホテル、夜8時10分前。
田之上はすでにロビーに立って待っている社長を見つけ驚く。

(いつもはギリギリにしか来ないのに…よっぽど大事な取引先なんだな)

田之上も心なしか気を引き締めた。

「社長」

「おおっ来たか、良かったこなかったらどうしようかと思った」

「えっ…私はそんなに重要なんですか?」

「あっ…いっいや別に冗談だよ冗談」

社長は笑うが目が笑っていない。

…なにか、変だな。

田之上の心に不安がよぎるが、今更帰ることはできない。
そして先方と待ち合わせをしているホテルの一室についても社長は落ち着かなかった。


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あきゅろす。
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